▼▼MATCH HIGHLIGHTS▼▼
明治安田生命J1リーグ第10節、カシマスタジアムでヴィッセル神戸と対戦した。セットプレーから先制点を奪われたアントラーズだったが、前半のうちにエヴェラウドのゴールで同点に追いつく。後半に入り、再びリードを許す展開となったが、終了間際に荒木が値千金の同点ゴールを決め、2-2の引き分けで試合を終えた。
3日前の清水戦、すでにグループステージ敗退が決定していたアントラーズだったが、誰一人として消化試合とは捉えていなかった。結果は3-2で逆転勝利。山田が公式戦デビュー、染野、荒木、そして松村の高卒ルーキー3人が揃って得点に絡む活躍をみせるなど、課題以上に多くの収穫を得た一戦となった。
試合後、指揮官は「若い選手たちで点を取ることができたのは非常に良かった」と若手選手の活躍を喜んだ。だが、すぐに「リーグ戦で連勝できていたので、その勢いを止めずに、再びリーグ戦へ向かうことができたのは非常にいいことだと思っている」と、次の神戸戦へ気持ちを切り替えた。
これからも連戦は続く。結果の良し悪しに関わらず、すぐに次の試合へ意識を切り替え、目前の90分に集中することが求められる。勝利の後こそ、気を引き締めて準備を進めた。
そして迎えた神戸戦、指揮官は清水戦から先発9人を入れ替えた。ゴールマウスはリーグ戦初出場となる山田が守る。最終ラインは右から広瀬、犬飼、関川、永戸が入った。ボランチは三竿とレオがコンビを組み、サイドハーフは右に土居、左に和泉、前線は遠藤とエヴェラウドが務める。ベンチにはスンテ、奈良、永木、アラーノ、荒木、松村、染野が座った。
アントラーズのキックオフで試合が始まった。立ち上がりから両チームともに後方からショートパスを繋ぎ、相手陣内へ進入していく。スローテンポな試合となったが、互いにゴール前まで攻め込み、チャンスをつくった。
試合が動いたのは19分、神戸のコーナーキックだった。イニエスタが蹴ったインスイングのクロスをニアで跳ね返すことができず、ボールはファーサイドへ流れる。これを大崎に頭で折り返され、最後はダンクレーにボレーシュートで決められてしまった。アントラーズは早い時間帯で1点を追う展開となる。
その後、試合はこう着状態に陥る。互いに後方からボールを丁寧に繋ぎ、相手陣内に進入するも、守備ブロックを崩し切れない。ビハインドを負うアントラーズとしては、もどかしい時間帯が続いた。
それでも38分、アントラーズはカウンターから同点に追いつく。相手のクリアボールをレオが拾うと、右サイドでフリーの遠藤へパスを送る。遠藤はタメをつくってから、オーバーラップした広瀬を使い、広瀬はダイレクトでクロスを上げた。このクロスボールにエヴェラウドが相手選手の上からヘディングでゴールネットへ突き刺した。このエヴェラウドのリーグ戦4試合連続ゴールで、アントラーズが同点に追いつく。
後半に入ると、互いに決定機をつくるスリリングな展開となる。最初の決定機を迎えたのはアントラーズだった。50分、遠藤が右サイド深い位置で起点をつくると、一度ボールを下げ、フリーの広瀬がクロスを入れる。このボールをニアサイドでエヴェラウドが競り合い、こぼれ球はファーサイドで待つ和泉のもとへ。和泉はうまく相手を剥がして右足を振り抜いた。しかし、シュートは惜しくもゴールポストに当たり、得点にはならなかった。
つづく56分、チャンスのあとにピンチが訪れる。イニエスタが蹴ったコーナーキックをファーサイドでダンクレーに高い打点で捉えられた。シュートは枠に飛んだが、山田の好セーブで失点を防いだ。
60分に今度はアントラーズがチャンスをつくる。ペナルティエリア深い位置をとった土居が相手の意表を突くヒールパスで後方にパスし、ボールを受けた和泉がペナルティエリア右から左足でシュートを放つ。しかし、これは枠を大きく外れてしまった。
両チームが交互にビックチャンスをつくるなか、61分に試合が動く。神戸の左サイドでイニエスタ、ドウグラス、酒井と細かくパスを繋がれると、最後は郷家にペナルティエリア手前からシュートされた。山田は懸命に手を伸ばしたが届かず、ゴールネットを揺らされる。再びアントラーズが1点を追う展開となった。
失点を喫したアントラーズだが、直後の63分にチャンスをつくる。ペナルティエリア手前で土居がファウルを受け、フリーキックを獲得すると、キッカーのエヴェラウドが強烈なシュートを放った。しかし、これは相手GKに阻まれ、得点には至らなかった。
73分、同点に追いつきたいアントラーズは、4人同時に選手交代を行う。レオ、三竿、和泉、遠藤をベンチに下げ、アラーノ、永木、荒木、染野をピッチへ送った。さらに、82分には、広瀬との交代で松村を投入した。
試合終盤に入り、アントラーズは波状攻撃を仕掛ける。ゴール前で立て続けに決定的なシュートを放つも、神戸の体の張った守りを前に、あと一歩のところで得点を奪うことができない。残り時間が刻々と少なくなるなか、後半アディショナルタイムは4分とアナウンスされた。スタジアムに詰めかけたサポーターから拍手の後押しを受けて、アントラーズは決死の攻撃を仕掛ける。
すると、試合終了間際のアディショナルタイム4分、ついに神戸の堅い守りをこじ開ける。右サイドから永木が入れたクロスは相手に跳ね返されるも、荒木がクリアボールを拾い、アラーノに預けた。アラーノはペナルティエリア内の染野にパスすると、染野は狭いスペースでターンしてゴール前へラストパスを送り、そこに走り込んだ荒木がワントラップから右足を振り抜き、ゴールへ流し込んだ。荒木の公式戦初ゴールで、アントラーズがついに同点に追いつく。その直後、試合終了のホイッスルが鳴り、2-2のドローに終わった。
公式戦の連勝は3でストップしたものの、後半アディショナルタイムの同点弾で、アントラーズは価値ある勝ち点1を手にした。次は中2日でアウェイ横浜FC戦。厳しい暑さのなかで連戦が続くが、チームの勢いは増している。限られた時間で最善の準備を行い、これからもチーム一丸で勝利を目指す。
【この試合のトピックス】
・アントラーズがJリーグ最速で通算1600得点を達成
・荒木が公式戦初ゴール
・エヴェラウドがリーグ戦4試合連続ゴール
・山田がGKとしてアントラーズ初となる1年目での出場
・山田がリーグ戦初出場



・ビルドアップは相手の状況をみて、正確に組み立てていこう。
・集中力を切らさず、後半立ち上がりから全員で戦おう。
・守備のオーガナイズは良かった。
・後半も続けていこう。
Q.戦術を立ててできたと話があったが、どのような部分を実行した?
A.パスワークや技術が優れている相手なので、特にイニエスタが自由にボールを持つと苦しくなる。そこを遮断するためにビルドアップからプレッシャーをかけて、そこから相手陣内で何度かボールを奪ってチャンスは生まれた。ラストパスの精度やコントロール、落ち着きのところで決め切ることができなかった。しかし、そこで相手陣内で潰す、奪うことを全員でやり続ける強度を求めた。そこはチーム全体として落とさずにできた。特に後半から入った選手はその目的意識を持ってやれていた。神戸は経験豊富な選手が多いので、ゆるいテンポのパス回しで、相手の背後を取ったりと独特のリズムを持っている。そのリズムにはまらないように、スピードを生かして相手のゴールに向かうことを目指した。すべてを決め切ることができなかったが、最後の最後にゴールできた。たとえ同点ゴールであっても、われわれとしては勝ちに等しい得点になったのではないかと思う。
Q.新人4人への期待は?
A.今のチーム内で若手が6、7人いるが、彼らは自分の実力を上げていってチャンスを手にしている。選手が足りないから試合に使っているのではなく、彼らが日々の練習から示している意識高い姿勢や公式戦で示しているものを評価して起用している。前節の鳥栖戦、ルヴァンカップの清水戦、今日の神戸戦と、1年目でいきなり自然体で能力を表すのは難しいものだが、それを上回る「吸収したい」という意欲が高い。スポンジのように吸収することで、その力を自然に示せているのではないかと思う。アントラーズだけでなく、日本サッカー界のためにも若い有望な選手を育てることは重要。彼らは年代別代表で活躍できる。日本を代表する選手としてピッチに立てる能力があると思っている。
Q選手交代の意図は?
A.2失点目で強度が落ちてしまったところがあった。そのあともチームとして安定していたし、チャンスも作れていたので問題ないと思っていた。もう少し様子を見ながら、いかに相手に圧力をかけるかを模索していた。ボランチに永木とアラーノを入れて、よりゲームを構成することを考えた。荒木、染野も入れて、クレバーな彼らに求めたものは相手ゴールに向かうこと。そこからリズムを盛り返せた。前半から戦っていて、中盤の強度が落ちて失点したところもあったので、そこから松村選手を入れて、永木選手をサイドに出した。相手のDFラインが疲れて背後を嫌がっていたので、背後に走る選手を入れるという狙いだった。最後は染野選手が冷静にプレーしてくれた。普通ならシュートを狙うものだが、冷静に荒木を見てパス、荒木も狭いスペースでもシュートをうまく決めた。若手が自然体でうまくできるようになっていることはいいこと。もっとチームの力になってもらいたい。
センターバックなのでフォワードの選手とマッチアップすることになる。そこで自由にやらせないことが重要。シンプルに前線へ向けてロングボールを入れてくることもある。そこで、いかに自分たちがボールをはね返すことができるかが大事になってくる。
【エヴェラウド】
神戸にはタレントが揃っている。しかし、相手に負けないぐらいアントラーズにもタレントが揃っている。いいプレーができたチームが勝利という結果を手にする。自分たちが、勝利を手にできるように頑張りたい。
同期のみんながゴールを決めていて自分だけ決めていなかったので、ゴールという結果を残すことができて良かった。最初にこぼれ球がきたときにシュートを打とうと思ったが、打てなかったのでアラーノに出した。それから染野にボールが渡ったときに、自分の前にスペースがあったので、走り込んだらパスが来た。冷静に相手GKを見ながらシュートを決めることができて良かった。走り込めば何かあると思っていた。途中から入って、交代の僕らがアグレッシブに動いてチームに勝利をもたらすことが理想。今日は勝ち点1を取れたので、次は勝ち点3を取れる働きをしたい。
【山田 大樹】
前の試合でできたこととできなかったことを分析して、今日の試合に臨んだ。ルヴァンカップのときに自分のところからチャンスを作る場面が1、2本あったので、守備はもちろんやりながら、攻撃の部分を出していこうと考えていた。自分が試合に出るとなり、GKの先輩たちがサポートしてくれた。試合で自分を使ってくれた監督に感謝しながら、もっと高いところを目指して次は勝てるようにしていきたい。