鹿島がホームで惨敗を喫した。J1第12節、川崎フロンターレをカシマスタジアムに迎え撃つと、19分に先制点を奪われて1点を追う展開に。前半終了間際に0-2と突き放され、61分にもゴールネットを揺らされた。鹿島は17本ものシュートを放ったものの、最後までゴールを奪うことができなかった。0-3。屈辱的な惨敗で、2連敗。開幕12試合を終えて7勝5敗となった。
鹿島は4月26日のACLグループステージ第5節で蔚山現代FCに4-0と快勝してから、鳥栖、浦和、そしてムアントンを撃破。公式戦4連勝と勢いに乗っていた。しかし、5月14日の神戸戦では開始14分で2点を先行され、後半はことごとく決定機を逃してしまう。終了間際にレアンドロがJ1初得点を挙げたが、反撃及ばず。1-2と敗れ、首位陥落となった。聖地に鳴り響いたブーイングを受け止め、選手たちは奮起を誓った。
ホーム3連戦の締めくくりは、金曜日のナイトゲーム。昨季はチャンピオンシップ準決勝や天皇杯決勝で顔を合わせた難敵・川崎F戦に向けて、チームは準備を進めていった。18日に発表されることとなった遠藤とレオ シルバの負傷離脱は痛手だが、永木は「ケガで戦線離脱した選手もいる中、ベンチ入りした選手が良いパフォーマンスをして、責任感を持ってプレーしないと」と、チーム一丸で戦う姿勢を強調した。
試合前日、穏やかな天気に恵まれたクラブハウスには背番号12からの力強いメッセージが掲示された。フル稼働でチームを支えてきながら、無念の離脱を強いられることとなった2人の想いとともに。5月後半の3試合、真価が問われる戦いが始まる。
石井監督が指名した先発メンバーは、前節から5選手が入れ替わっていた。左サイドバックに山本が復帰し、中盤は小笠原以外の3選手が変更に。ボランチの一角に永木、2列目には前節で初得点を挙げたレアンドロと中村が並ぶ。そして前線、鈴木とともにゴールを狙うのは金森。鹿島加入後、リーグ戦初先発初出場となった。そしてベンチには、GKの曽ケ端、ブエノ、伊東、土居、三竿健斗、ペドロ ジュニオール、金崎が並んだ。
ウォーミングアップに向かう選手たちに、背番号12の情熱が降り注がれる。デビューから2試合目の町田、先発復帰を果たした山本や中村、前節で初めてスコアを刻んだレアンドロに大きなコールが送られた。そして、鹿島の一員として初めて聖地のピッチに立った金森のゴールを待ち望む声が鹿嶋の夜空を切り裂いた。ボルテージが高まる中、19時3分にキックオフのホイッスルが鳴り響いた。

金森と鈴木の若き2トップ、そしてレアンドロと中村というテクニシャンが並び立つ攻撃陣は立ち上がりから積極的に攻勢をかける。開始5分、最終ラインの背後へ抜け出した鈴木が浮き球に反応して左足ボレーを狙ったが、空振り。12分には金森が鋭い突破からペナルティーエリア手前まで持ち込み、右前方のレアンドロへ。背番号11のクロスから鈴木がヘディングシュートを放ったものの、枠の右へ逸れてしまった。
最初の決定機は19分。左CKに反応した町田が競り合い、右前方へと流す。反応した鈴木が至近距離から右足で狙ったが、相手GKに阻まれてしまった。すると直後、落とし穴が待っていた。敵陣深くからの相手の攻撃で、鹿島陣内右サイドを突破されると、ペナルティーエリア右側から打たれたシュートはスンテが弾いたものの、こぼれたところに詰めていた阿部に押し込まれてしまった。0-1。セットプレーのカウンターからゴールネットを揺らされ、またもホームでビハインドを負った。
20分を経過し、試合は激しさを増していく。競り合いに対してファウルをあまり取らない基準を採用した主審の判定もあり、選手間のボディコンタクトは強度を高めていった。永木が鋭いスライディングでボールを狩り取り、デビュー2戦目の町田も敵陣まで進出してインターセプトを成功させるなど、それぞれが持ち味を見せていく。30分には永木が強烈なミドルシュート。枠を越えたものの、ゴールへの意欲を示してみせた。
しかし、前節に続いてアクシデントに見舞われることとなった。32分、勇気と積極性をもってミドルゾーンでボール奪取へ向かった町田が、右ひざを痛めてピッチに倒れ込む。前節で味わった悔しさと決意、覚悟を胸に戦い続けていた若武者が、プレー続行不可能となってしまった。無念の思いとともに、背番号28が交代。36分、ブエノがピッチへ送り出された。今季初出場の背番号17は、気迫に満ちたエアバトルを繰り返してチームのために戦っていた。
0-1のまま、前半は終盤へ。金森が相手のバックパスを狙い済ましてプレスをかけるなど、鹿島はゴールへの思いを見せた。しかし45分、次のスコアも川崎Fのものだった。1本の縦パスから最終ラインの背後を取られ、フリーでシュートを許す。スンテは素早い反応で弾き出したが、こぼれ球に詰めた長谷川のシュートがゴールネットを揺らした。0-2。ハーフタイム目前に喫した、痛恨の2失点目。鹿島が2点ビハインドで前半を終えた。
2点を追う後半、石井監督は土居をピッチに送り出して反撃を期す。鹿島は立ち上がりから敵陣でのボールキープを続け、じわじわと川崎Fを押し込んでいった。48分には西のアーリークロスから鈴木がヘディングシュート。しかしこの決定機も、相手GKの好守に阻まれてしまった。52分には西の強引な突破から最後はレアンドロが右足で狙ったものの、相手DFにブロックされてしまった。
後半最大の決定機は54分、最終ラインから敵陣に持ち上がったブエノがスルーパスを繰り出すと、金森が最終ラインの背後を取って完全フリーでペナルティーエリア内へ。しかし、「迷ってしまった」という右足シュートはゴールネットを揺らすことができず、相手GKに阻まれた。



そして61分、川崎Fが3点目を記録する。ペナルティーエリア右側から突破され、登里に左足シュートを決められてしまった。結果的に、ビジターチームが後半に放ったシュートはこの1本だけだったが、鹿島は非常に重い3点ビハインドを負った。
石井監督は0-2の時点で投入準備を進めていた金崎をピッチに送り出す。サポーターが待つゴールへ、鹿島は必死に反撃を試みた。しかし、決定機を作るには至らない。75分以降は進路を失ったパスも増え始め、歯車が噛み合わないまま時間だけが経過していった。得点の予感が漂ったのは、85分に金崎が放った強烈なシュートのみ。閉塞感と停滞感が聖地を包み、敗北の時を迎えた。
0-3。聖地に鳴り響いた怒号とブーイングを燃料に変え、不甲斐なき己の姿と向き合い、チーム全員で這い上がらなければならない。次戦は4日後、ACLラウンド16の第1戦だ。広州恒大とのアウェイゲームに向けて、チームはすぐに準備を進める。リカバリートレーニングを経て、明日の午後に中国へと出発。アジアのベスト8を懸けた決戦。戦いは続いていく。鹿島の意地と矜持を示さなければならない。
【この試合のトピックス】
・金森が加入後のJ1初先発初出場を記録した。カシマでのデビューも果たした。
・中村がリーグ戦5試合ぶり、山本が3試合ぶりの先発復帰を果たした。
・永木が公式戦2試合ぶりに先発メンバーに復帰した。


・相手陣内ではボールを慌てず動かしていこう。
・まずは1点返そう。
・相手の斜めのランニングに対しての対応をはっきりと。
・立ち上がりから声を掛け合い、集中していこう。
Q. ペースはアントラーズが握っていた。鈴木選手のシュートが入っていたら展開は違ったと思うが、敗因は?
A. ここ何試合か前半の早い時間に失点してしまっている。今日も19分に失点。そういう時間帯に失点してしまい、いつも後手に回ってゲームをしなくてはいけない。そこが問題だろう。もう少し落ち着いて自分たちがボールを持つ形にしなくてはいけない。本当にゲームの流れは重要だと思う。
Q. 今日もケガ人が出てしまったが、広州恒大戦のプランは?
A. 今日もケガ人が出てしまい、1人欠けてしまった。チーム全体で乗り切らなくてはいけない。できる選手でしっかり広州恒大戦のアウェイに臨みたい。最低でも引き分けることが必要。自分たちがボールを持つ時間をしっかり作りたい。どう戦うかメンバーも含めて考えたい。
Q. 金森選手を交代した理由と、金崎選手を使った理由は?
A. もっと前線でためる形から攻撃を作りたかった。一度しっかり受けて、前にもっとパワーを持っていく形を狙って、夢生を入れた。健志も前半からしっかりボールを受けて、中へのドリブルから攻撃の起点になってくれた。今日は自分の特長をしっかり出してくれた。夢生を入れたのは、得点するため、逆転するため。
マチにはインターセプトという武器があるから、「どんどん上がって狙え」と言った。いろいろな面でサポートできればいい。川崎Fは足下でパスを回すチーム。そこでインターセプトできればチャンスになる。セットプレーの守備は相手もスカウティングしているし、気をつけたい。
【金森 健志】
練習から試合に出るためにやっているので、それを出したい。神戸戦で負けているので、流れを止めるしかない。チームを勝たせるために走りたい。福岡の時には川崎F戦でたまたま2得点を決めることができた。今度はアントラーズの選手として点を取れればいい。点を取ることだけを考える。
【町田 浩樹】
神戸戦で学ぶことがたくさんあった。次の試合にそれを生かさないといけない。川崎Fはうまいチームなので、ポジショニングやコーチングが大事になってくる。小林選手はかけ引きがうまいので、しっかりと対応したい。相手に狙われても、ミスを恐れずにやることが大事。神戸戦よりも落ち着いてプレーできると思う。
【永木 亮太】
ここからが踏ん張りどころ。チーム全員でやっていかなければいけない。主力でやっていた選手が抜けたからといって、成績を落としてはいけない。
【土居 聖真】
得点を取れれば勝てる。連戦でも信頼してフル出場させてもらえるのは幸せなこと。今はこれまでにない新しい壁にぶつかっていると思う。試合の中でたくさんボールを触れるようにしたい。
相手はシュート3本で3点を決めたような感じだった。うちにはチャンスが多くあったので、決めるだけだと思う。これからもみんなで頑張っていきたい。
【山本 脩斗】
先制点が響いてしまった。後半はなかなか相手の守備を崩しきれなかった。リーグ戦で2連敗で、ケガ人も出てしまったけど、すぐにACLがある。チーム全員で反省をして準備をしていきたい。
【土居 聖真】
試合に出ているかどうかは関係なく、みんなで変えていかないといけない。流れは良くないけど、どうにかしないといけない。みんなで取り組んでいかないといけない。
【金森 健志】
0-3という結果になり、カシマまで応援に来てくれたサポーターの皆さんに申し訳ない。FWとして無得点に終わったことはすごく悔しい。