鹿島のリーグ開幕戦は、黒星スタートとなった。J1第1節、カシマスタジアムでFC東京と激突すると、スコアレスで迎えた81分にオウンゴールで均衡を破られ、最後まで1点を返せずに0-1で敗れた。
鹿島は4日前、ACL初戦で蔚山現代FCを2-0で破った。クォン スンテのビッグセーブでピンチをしのぐと、スコアレスで迎えた後半に金崎と鈴木がゴールネットを揺らす。完封勝利を収め、グループE首位発進に成功した。18日に行われたFUJI XEROX SUPER CUPの浦和戦から、公式戦2連勝。勢いに乗ってリーグ開幕へと突き進んでいった。
タイキャンプから数えて、1月下旬から8試合を戦った鹿島。週2ペースで試合に臨むスケジュールはすでに日常と化しつつあるが、リーグ開幕前の高揚感はやはり特別だ。3日間の準備期間、選手たちは高まる期待感と注目度を感じながら、トレーニングに打ち込んだ。23日に行われた紅白戦では、激しい雨風に見舞われる中、強度の高いマッチアップが繰り返されていった。
「Jリーグ王者として受けて立つのでなく、チャレンジャーとして戦う」と語った指揮官が指名した先発メンバー11人は、蔚山現代FC戦から5名が変更となった。右サイドバックに西、ボランチの一角に小笠原が復帰し、2列目には土居と遠藤が並ぶ。そして前線、金崎のパートナーはペドロ ジュニオールが務めることとなった。GKのクォン スンテ、最終ラインの植田と昌子、山本、ボランチのレオ シルバは蔚山現代FC戦に続いての先発メンバー入り。そしてベンチにはGKの曽ケ端、三竿雄斗、町田、永木、レアンドロ、中村、鈴木が並ぶ。
リーグ開幕の日を迎えた喜びに満ち溢れた聖地・カシマスタジアム。スタンドの入れ替えを実施してから初めて迎える週末、アントラーズレッドの背番号12が南側スタンドを埋め尽くしていく。青空の下、ピッチに現れた選手たちに、大きなチームコールが降り注がれた。
14時3分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。大型補強を敢行したFC東京とのオープニングマッチは、立ち上がりから激しいボディコンタクトの応酬となる。鹿島は7分、ペナルティーエリア左側にパスを通されて大久保嘉にシュートを打たれたものの、J1デビュー戦となったスンテが的確な反応で弾き出し、失点を許さない。試合は拮抗した展開で、スコアレスのまま推移していく。鹿島はFC東京にボールをキープされる時間が長くなったものの、しっかりとブロックを組んで対応。レオや小笠原が厳しくプレスをかけ、相手の攻撃を寸断した。
25分以降、少しずつボールポゼッション率を高めていった鹿島は、セットプレーのチャンスを数多く獲得してゴールを目指す。しかし、なかなか決定機を作るには至らない。前半終了間際にはカウンターからペドロがペナルティーエリア内へドリブルで仕掛ける場面もあったが、ゴールを脅かすことはできなかった。0-0。前半45分は互いに堅い内容で、スコアレスで終了した。


後半に入っても、両チームの選手たちが激しいボディコンタクトを繰り返す展開は変わらない。中盤でボールが収まらず、こぼれ球の奪い合いが続いた。鹿島は52分、金崎がペナルティーエリア左手前から強引に突破。相手との競り合いで最後はボールを失ったものの、貪欲にゴールを目指す姿勢を見せた。そして2分後、ショートカウンターから決定機。レオが自陣からドリブルで持ち上がり、土居へ縦パスを通すと、左サイドのスペースで待っていた金崎へ預ける。ゴールを見据えた背番号33は右足を一閃。強烈なシュートが枠を捉えたが、惜しくもクロスバーに阻まれた。結果的には金崎がボールを受けた時点でオフサイドとなったものの、FC東京ゴールに迫る場面を作ってみせた。

金崎のシュートから5分後、今度はペドロに決定機が訪れる。59分、ペナルティーエリア手前から土居が正確なスルーパスを通すと、背番号7がペナルティーエリア内でフリーとなる。右足から放たれたシュートはゴールマウスへ飛んだが、相手GKの好守に阻まれてしまった。
鹿島は56分からピッチに立った雄斗が左サイドをオーバーラップし、クロスを上げてチャンスを窺う。さらに68分には小笠原に代えて永木を投入し、石井監督はミドルゾーンのテコ入れを図った。70分以降は互いに中盤のスペースが空き始め、ゴール前での場面が増える、オープンな展開へと傾斜していった。73分には雄斗が左サイド深くまでオーバーラップし、レオ、土居とつないでペドロがシュートチャンスを迎えたものの、うまく当てることができず、こぼれ球をつないでから放たれた金崎のシュートも阻まれてしまった。
拮抗した展開のまま、スコアレスで残り10分を切った。そして82分、この日唯一のゴールは、FC東京のものだった。中島がペナルティーエリア手前から放ったミドルシュートをスンテが弾くと、カバーに戻っていた雄斗に当たり、ゴールへ。鹿島は痛恨のオウンゴールで、FC東京に先制を許してしまった。
ホームでビハインドを負った鹿島は、サポーターの待つゴールへ必死の攻勢をかける。84分にはセットプレーの混戦から植田がジャンピングボレーを放つ場面もあったが、枠を捉えきれず。76分からピッチに立った鈴木も力強いドリブルで突破口を見出そうと腐心したが、最後までゴールネットを揺らすことはできなかった。
0-1。鹿島のJ1開幕戦は、完封負けという結果に終わった。次戦は28日、ACL第2戦だ。下を向く時間はない。中2日で迎える、タイでのアウェイゲーム。ムアントン・ユナイテッドとの対戦で、グループステージ突破へ前進するための勝ち点3を掴みに行く。アントラーズレッドのスタンドから鳴り響いた大きなチームコールを背に受け、ピッチを後にした選手たち。その思いとともに、チームは明日、タイへと向かう。
【この試合のトピックス】
・J1開幕戦がカシマで行われたのは6年ぶり。
・J1でのFC東京とのホームゲームで敗れたのは、2007年以来10年ぶり。
・スンテがJ1初出場を果たした。
・レオとペドロが鹿島の一員としてJ1初出場を果たした。


・相手陣内でもう少し早いテンポのサイドチェンジを意識しよう。
・できるだけシンプルに速いボールを前線にあてて攻めていこう。
・セカンドボールをひろえているので、攻撃はシュートで終わること。
Q. 西選手と三竿選手を交代して、さらに山本選手とサイドを入れ替えたが、その意図は?
A. 大伍の足の状態で問題があったので、そこは前半から気にしていた。その影響で交代することになった。サブに同じようなメンバーが入っている場合、同じ交代をすることは今後も考えられる。
FC東京は高萩選手が入って、変わったと思う。相手についてのイメージはあるけど、昨季は2ndで負けている。相手はうちに勝った戦い方を覚えているだろうし、勝ち方を知っていると思う。アグレッシブに前から来ると思うから、受けに回ったらダメ。開幕戦は大事な試合。試合の入り方が本当に大事になる。
【遠藤 康】
蔚山戦を振り返ると、もっと良い試合ができるし、できる選手が揃っていると思う。全体のバランスが良くなかった。守備も安定した戦い方をしないといけないし、攻撃ももっとバリエーションを増やさないといけない。
【植田 直通】
Jリーグではお互いのことを良く知っているので、ACLとは違う。タイトルを獲らないといけない大会の、大事な初戦。全試合で勝ちたいし、無失点を目指して毎試合に挑む。強い気持ちで戦わないといけない。
【レオ シルバ】
開幕戦は楽しみ。昨年、良い形で優勝したチームなので、今年も良いスタートを切るために一歩目を踏み出したい。FC東京は新加入選手が多く、個人の能力が高い印象。自分たちのペースで試合をすることが大事。ホームなのでしっかり勝てるようにやりたい。
【鈴木 優磨】
FC東京は大久保選手を中心に良い攻撃をしているけど、連係の部分はわからない。やりながら対応を考えたい。今は、どの辺にボールが来るかわかる。与えられた試合で結果を残すだけ。
勝ちたかったが、残念な結果で悔しい。(失点の場面は)シュートを打たれたとき、思ったよりもボールスピードが速かった。キャッチでミスをするよりはパンチングで強くはじこうとした。判断ミスだった。しっかりキャッチできていれば問題なかった。これをきっかけにより良い判断ができるようにしていきたい。
【昌子 源】
楽な時間帯で、もう少し押し込めた印象。シュートを打たないことには入らない。そこは伝えたい。僕たちDF陣は、前線の選手を信じて、常に0失点を意識したい。全勝を掲げてきて、いきなり負けてしまったが、これで優勝できなくなったわけではない。最低限、戦う姿勢を見せないといけない。すぐACLになるので、切り替えたい。
【三竿 雄斗】
悔しいです。(失点の場面は)コーナーキックにできればと思ったが、ボールがすべって勢いがあった。こぼれ球がくるとは何となく分かって詰めていた。もったいなかった。精神的にきついけど、切り替えて準備をしてチームに貢献したい。
【土居 聖真】
1点を取れれば楽になった試合だった。チームとして、早めに点を取れるようにすることが大事。後半は引かれてスペースがなかった。FWよりも2列目より後ろの選手たちがシュートをもっと打つべきだと思った。試合後にそのへんは話し合いが必要だと思う。すぐに次の試合が来るので、そこに向けてやっていきたい。
【西 大伍】
あまりプレーしていてワクワクする感じではなかった。相手がうまくそう持っていっていたのかもしれない。後半は相手が落ちたので、チャンスが来ると思っていたが。簡単につないで、サイドを崩したりできればよかった。