
逆転優勝に向けて、鹿島が"らしい"形で2-1と逆転勝利を収めた。20分に先制されながらも冷静にゲームを進め、38分にセットプレーから中田が同点弾を叩き込むと62分には小笠原の絶妙なロングボールで相手GKとDFの交錯を誘い、逆転ゴールを決める。このリードを最後まで守りきり、鹿島は等々力で10年振りとなる勝点3を得た。

序盤からどちらも意地とプライドを賭けた激しいぶつかり合いとなる。5分、新井場と野沢のテクニシャンコンビがワンツーで川崎Fの左サイドを崩すと最後は遠藤がゴール前中央からシュート。これはジャストミートせずゴールの枠には飛ばなかったが、期待が持てる最初のシーンとなった。


しかし20分、今度は自陣の左サイドでジウトンをあっさりと抜き去った楠神から矢島のダイレクトボレーが生まれる。これはクロスバーに直撃するが、そのこぼれ球をヴィトール ジュニオールに押し込まれた。前半早々に痛い失点を食らった鹿島だったが勢いに乗る川崎Fをさらりとかわし、冷静に自分たちのサッカーを組み立てることに集中する。これが功を奏し、試合は徐々に鹿島のペースとなる。23分、遠藤のクロスをマルキーニョスが胸トラップで浮かし、ダイレクトボレー。この芸術的なシュートは惜しくもゴールから外れてしまったが、前節の名古屋戦に続く連続ゴールを狙うマルキーニョスの気持ちが表れたシュートだった。

そして38分、ついに鹿島が同点に追いつく。その3分前、相手GKの相澤と交錯し、後頭部を負傷した岩政がピッチ外に治療を受け戻って来るまでの間で集中力が若干落ちてしまった川崎Fを尻目にセットプレーの場面で相手の隙を逃さなかった。右サイドで得たFKを野沢が蹴り、ゴール前で岩政がおとりになるとボールはファーサイドにいた中田へ渡る。これを中田がスライディングしながらのボレーで川崎Fゴールへ叩き込み、スコアをイーブンとし前半を終えた。


1-1でハーフタイムを迎えたこの試合だったが、川崎Fにアクシデントが起こる。岩政と交錯した相澤がプレー続行不可能となり、代わってゴールに立ったのはサブGKの杉山。これが鹿島に幸運をもたらすことになるとはこの時点で誰も思わなかったことだろう。62分、中盤でボールを奪取した小笠原が前線の野沢とGK杉山の間へ絶妙なロングパスを送る。野沢の鋭い飛び出しに慌てた杉山とDF森が勢い余って交錯し、小笠原の蹴ったボールは誰にも当たらず無人のゴールへ転がり込んだ。

失点したはずの森までが苦笑してしまう、この幸運なゴールで鹿島は2-1と逆転に成功する。そして今日の鹿島はこの幸運を決して手放そうとはしなかった。67分には本山に代わり、青木を入れ、中盤での守備を厚くする。さらには83分、右足に違和感を感じたマルキーニョスに代わり、佐々木が前線に入りプレッシングの勢いをより強めた。


最後の最後まで油断を見せないオリヴェイラ監督は試合終了間際の90分、遠藤に代え大岩を投入し、ホームの川崎Fに一寸の隙も与えない。結局、アディショナルタイムの4分間もきっちりと守りきり、鹿島は2-1という僅差で2000年以来、約10年振りとなる等々力での勝利をもぎ取った。

首位の名古屋が大宮に2-1と順当勝ちしたため、勝点こそ縮まらなかったものの逆転優勝へ向け、絶対に勝たなければいけないこの難しいゲームを全員の気持ちで勝ち取った鹿島。試合後の選手たちの表情は一様に明るかった。「100%の力でもここで勝つのは難しい。それ以上の力と気持ちを今日は全員が出してくれた」。試合後、オリヴェイラ監督は今日の勝利をこう分析した。全員の気持ちが1つとなった鹿島に恐れるものは何もない。後は自分たちを信じて突き進むのみだ。



・前線は流動的な動きから崩していけ。
・攻守の切り替えを早く。
・奪ったボールを落ち着いてサイドを使って展開していこう。
DFの選手が多く入ってきたが、ブロックを作って対応すればバランスの問題はない。チームとして対応できて良かった。終盤は押しこまれたけれども、どんな試合でも同じような状況になるので集中して対応した。名古屋のことより残り4試合を勝つしかない。チームを信じてやっていく。
【中田 浩二】
先制された後にバタバタしたが、相手が飛ばしていたのでチャンスはあると思ってプレーした。セットプレーで大樹にマークがついていたから、いい感じで自分にボールが来た。狙っていない分、枠をとらえることが出来たと思う。
【小笠原 満男】
(逆転ゴールは)野沢に決めてもらうつもりで出したパス。野沢が決めてくれるのが一番良かった。この得点はGKが交代したこととは関係ないと思う。もうどこにも負けられない状況で前に意識が集中する中、うまく出来た。先制された後もあせらないで出来た。名古屋のことより残りを全部勝つことが大事。
【本山 雅志】
うちのセットプレーの精度の高さは素晴らしい。得点シーンはタクがよくフリーランをしてくれたし、あれはタクの長所。満男もきちんと見ていた。川崎Fはホームで強いし、1点取ればたたみかけてくるチーム。今日は中盤とDFラインがよく押さえてくれた。
【遠藤 康】
今日は慌てずに出来たと思う。失点の後、マルキと満男さんがボールを繋いでいこうと言ってくれたので、その通り出来たしイケる気がした。リードしてからはキープしてシュートで終われば、というイメージだった。今日の試合はボランチが一番大変だったと思う。
※野沢選手、伊野波選手、曽ヶ端選手の試合後コメントはアントラーズモバイルをご覧ください。