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 今シーズンはアルトゥール カイキの活躍が光る。7月6日のホームC大阪戦からリーグ戦では7試合連続ノーゴールが続いていたが、先の浦和戦では2ゴールを記録。「チームとして求めた結果は勝利だったので残念」と悔しさを滲ませながらも、個人としては自信を取り戻す大きなゴールとなった。

「ゴールからしばらく遠ざかってしまっただけに、浦和戦で久しぶりに得点を決められたことは、とても嬉しかった。自分たちが求めている勝利をつかむことができなかったが、内容を見ても、収穫のある試合になったと思う」

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 彼の存在は、いまのアントラーズに欠かせない。自陣からカウンターでスプリントできる走力に加え、独力で局面を打開できるボールテクニック。そして、何と言っても、圧倒的な空中戦の強さには目を見張るものがある。身長は174cmと上背はないが、恵まれたジャンプ力を持ち、空間認知能力やクロスを呼び込むタイミングにも優れている。今季リーグ戦で決めた全8ゴールのうち、ヘディングで5ゴールを記録しており、これはリーグ最多のヘディングでの得点数だ。

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 そんなカイキの良さを活かす存在が樋口雄太だ。樋口は精度の高い右足のキックでカイキのゴールを何度もお膳立てしており、2人の間には阿吽の呼吸がある。カイキも樋口への称賛を惜しまない。

「彼のプレースキックの精度は目を見張るものがある。スピードの速いボールをピンポイントで蹴ることができるため、相手もなかなか対応できない。ただ、それよりも、僕が彼のキックに合わせるタイミングをバッチリつかんだことが大きい。どこを狙っているのか、どこに落ちてくるのか、それがわかっている。だから、セットプレーからヘディングでゴールを決められているんだと思う」

 その言葉通り、先の浦和戦でも樋口のクロスを見事にヘディングで合わせ、ゴールネットを揺らしてみせた。試合後にカイキも「練習通りだった。雄太から良いパスが来るのはわかっている。駆け引きをしてエリア内に入り、良い形で決めることができた」と、先制点の場面をしたり顔で振り返ったが、カイキと樋口の良好な関係性はチームにとって大きな武器の一つとなっている。

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 そんな好調のカイキとともにチームは、次に天皇杯 準々決勝へ臨む。タイトな日程での連戦となるが、「中3日であれば個人的には十分に体を回復する時間があると思う」と力強く語り、「非常にコンディションが良い状態が続いているし、どんな形でも、チームへ貢献することが重要。得点やアシスト以外でも貢献していきたい」と意気込む。彼のモチベーションの高さは相手にとって必ず脅威となるはずだ。

「絶対に勝たないといけない試合。集中して試合に入り込むことが大事になってくる。準備期間は短いが、監督からやるべきことを明確に伝えられているし、勝利する自信はある。相手のセットプレーをはじめ、一つひとつのプレーで大会の結果が決まってしまうので、より集中して試合に臨みたい」

 日本一のタイトルがかかった重要な一戦、準備に不足はない。アルトゥールカイキはチームへの献身を尽くしながら、貪欲にゴールを目指す。

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