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 中村亮太朗は中央大学を卒業して甲府でプロキャリアをスタートさせた。1年目からコンスタントに出場機会を得ると、2年目にはリーグ戦33試合に出場。学生時代から光っていた攻撃のセンスのみならず、課題であったフィジカル面も大きく向上した。

「甲府では堅守速攻がスタイルだったこともあり、ボランチが一番走らなければいけないポジションだった。1試合平均13kmは常に走っていたし、それが当たり前になった」

 走力を養い余裕が生まれると、持ち前のパスセンスをさらに活かせるようになり、攻撃面でより違いを見せられるようになった。本人も「攻撃が得意なのでゴールの起点になるパスや攻撃時のゲームの組み立ては自分の特長の一つ」と語る。

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 そんな充実した2年を経て、迎えるプロ3年目。「新しい環境でフットボールがしたい」と思っていたタイミングで、アントラーズからのオファーが届いた。

「J1でもトップに位置するチームからオファーをいただいたので嬉しかったし、挑戦する以外の選択肢が思い浮かばなかった。厳しいポジション争いが待っていることも移籍を決めたときから覚悟している」

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 そんな覚悟の決断は、亮太朗にたくさんの刺激をもたらした。特に自身が改善点として挙げる「守備面」については、練習合流初日から学ぶべきものがたくさんあったと言う。

「走力はあるので戻ることはできるが、まだそこでボールを取り切ることができていない。健斗くんの守備を見ていると、自分はまだまだ足りないところが多いと感じる。いいところを盗んで強化していきたい」

 甲府で身につけた運動量に加え、アントラーズで守備を強化できれば、自身が理想とする選手にまた一歩近づける。トレーニングから意欲的に課題の克服に取り組んだ。

「組み立ての部分はアピールしたいし、自分が中心となってボールを動かせるような信頼を勝ち取りたい。アントラーズの選手たちは、球際に激しくいく部分など、基本的な技術が高い。そこは、自分の弱点でもあるので、伸ばしていきたい」

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 そして、迎えたシーズン開幕、出場機会を得ることは「簡単ではない」と覚悟していたが、第2節の川崎F戦で初のベンチ入り。後半開始から途中出場し、J1デビューを果たした。

「初めてのJ1の舞台。ピッチに入る前からめちゃくちゃ緊張していた。顔にはあまり出ないタイプだけど、緊張感はすごかった」

 初々しい言葉とは裏腹に、亮太朗は冷静沈着なプレーでゲームメークし、試合の流れをグッと引き寄せた。課題の守備面でも、鋭い読みでボールを奪取するなど「アントラーズの一員として求められる『戦う部分』」を示してみせた。

 つづく、YBCルヴァンカップのC大阪戦で初先発を飾ると、リーグ第3節柏戦、リーグ神戸戦では後半途中から出場。小気味良いパスを散らして、求められた役割を完遂した。限られた出場時間でも存在感を示している。

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 そして、2連勝して臨む次の一戦は、YBCルヴァンカップのアウェイ大分戦。亮太朗の出場にも期待がかかる。

「コンスタントに試合に出場できるくらい、自分のプレーを安定させたい。ボランチのポジション争いは厳しいが、今シーズンだけでなく、長い目で見てもチームで一番成長したと思ってもらえるくらい、飛躍の1年にしたい」

 謙虚ながらも、野心がみなぎっている。ここからどれほど飛躍を遂げるのか。背番号35の活躍から目が離せない。

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