PICK UP PLAYER

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 先のアウェイ清水戦、先発した三竿健斗は、中盤の底にどっしりと構え、次々とピンチの芽を摘んでいった。

「CBといい距離感を保ちながら、横に振られたときに、FWのパスコースを消すことを意識していた。あえてパスコースを空けて、出させて取ることも何度かあったが、CB2人と自分の3人で、相手の前線の選手の位置を把握しながら、常に誰がどこにいるかを意識してプレーできたと思う」

 久々に本職でのスタメン。期する思いは当然あった。「久々にボランチで出場したので、自分の価値を示そうと思っていたし、『ここは俺のポジションだ』ということを見せつけようと思っていた」。その気持ちはプレーの端々から存分に伝わってきた。

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 そんな三竿へ岩政監督も「リーダーの1人であり、出来るだけピッチに立たせておきたい選手の1人」と絶大な信頼を寄せる。「どんな時も僕の意向を汲みながら、チームを引っ張ってくれる。そういう姿勢が最後のところでボールを掻き出したり、今日のようなゴールに結びついたりしていると思う。他の選手への影響もある選手」と、賞賛を惜しまなかった。彼の存在感とリーダーシップは、チームを力強く牽引する。

「結果が出なければ、『やっていることが間違っている』と考えがちだけど、自分は進むべき道を進んでいると思う。結局、最後の結果は、戦術よりもピッチに出ている選手の個の能力で決まると思う。一瞬の隙をつくらないことだったり、ゴール前での最後のクオリティを上げないといけない。選手のクオリティを上げるしかない」

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 真摯に練習に取り組み、ピッチ外でも準備を怠らない。プロとしてチームメートに厳しく接することができるのは、他人よりも自分に一番厳しいから。そんな三竿に仲間からの信頼は厚い。

「ここ2、3年、新しいことに取り組みながら結果が出ないときは、みんな言われたことをやろうとしているけど、それが先にきてしまって、走ることや戦うことがおろそかになってしまっていることが多かった。まずは大前提として、フットボールにおける当たり前のことをする。それに戦術を上乗せできれば、横浜FMや川崎FのようにJリーグで支配できると思う」

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 次はホームで迎える最終節。指揮官の考えを理解し、体現する存在だからこそ、戦術の前にまずは「戦うこと」を意識する。

「まずは戦う姿勢を90分間見せないといけない。それがアントラーズのサポーターが見たい姿だと思う。うまくやろうとしすぎずに、泥臭く走って戦おうということを、みんなで意識して、声をかけてやってきた。これを毎試合、当たり前にできるようになることが、強いチームになるということだと思う。最終節でも、またその姿を見せたい」

 チームリーダーの一人として、三竿健斗は戦う姿勢を前面に出して、アントラーズを勝利へと導く。

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