PICK UP PLAYER

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 9月16日のアウェイ鳥栖戦。アントラーズのゴールマウスを守ったのは、プロ2年目の早川友基だった。これまで公式戦の出場は、天皇杯の1試合のみ。リーグ戦の出場はない。傍から見れば、予想外の大抜擢だ。ただ、試合前に岩政監督は自信に満ちた表情で次のように回答した。

「おそらくプレーを見たら、皆さん、驚かれると思う。試合に出れなかったのが不思議なくらい、非常にいい選手。これまでチャンスがなかったが、準備は整った。楽しみにしてほしい」

 本人も至って冷静だった。「やっと試合に出て自分をアピールできる。緊張はないし、練習の中で自分の長所を出してプレーできているから、不安はない」と、平然とした表情で語り、「冷静に普段通りプレーしたい。緊張するタイプではないので」と、メンタル面の強さを伺わせた。彼ならば心配ない。そう感じさせる、堂々たる振る舞いだった。

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 かくして、臨んだアウェイ鳥栖戦。早川はデビュー戦とは思えないほど、伸び伸びとプレーし、指揮官からの期待に応えてみせた。ビッグセーブを連発し、幾度となく失点の危機を救うと、攻撃面でも積極的にボールに関わり、長短を織り交ぜた効果的なパスを供給。試合後に岩政監督も「彼が持っているものをそのまま出してくれた。落ち着いてプレーをしてくれた。これまでのアントラーズにない形も見ることができたし、十分に力を発揮してくれた」と、賞賛の言葉を惜しまないほどのパフォーマンスだった。

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 鳥栖戦でリーグ戦初出場を果たした早川は、次のFC東京戦でもゴールマウスを守った。悔しい失点こそ喫したが、安定したセービングで実力を発揮。公式戦から遠ざかっていた期間も、チームメートとともに地道に続けてきた努力が、ようやく実を結んだ。

「自分は日頃からみんなと仲良く、親密に接する機会が多い方だと思う。だから、みんなから『絶対、チャンスが来るよ』って励ましてもらっていた。試合に出れない機会が長かったからこそ、『試合に出たい!試合に出たい!』と焦ることなく、トレーニングの中で課題に取り組めた。みんなの支えもあって、ネガティブになることはなかったし、試合に出たときに自信をもってプレーできるように、ずっと取り組んできた。これまでトレーニングで積み上げて来れてよかったと思う」

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 しかし、リーグ戦2試合連続で出場したからと言って、慢心は一切ない。経験豊富なスンテ、実績十分の沖、成長著しい山田と、熾烈なポジション争いは続く。次の試合も誰が出場してもおかしくない。試合に出たからには、高いパフォーマンスを示し続ける必要がある。

「自分は年齢的に中堅にあたる。貪欲に練習して、自分から発信していかないといけない。成長できている実感はあるし、自信はあるから、試合に出たいという意欲が余計に増している」

 ただ、貪欲に。早川友基は、常に勝利と成長を追い求め、戦う。

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