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 仲間隼斗のプレーは、観る者の心を熱くさせる。どれだけ苦しい状況でも、力の限り走り、献身的に体を張る。フットボールへの情熱を体中から漲らせ、勝利への執着心を見せる。「大切なのは自分の力を出し惜しむことなく、100%の力を出し切ること。個人的にはそれを大切にしている」。これはフットボールに関しての言葉だが、彼の人間的な魅力も同時に伝わってきた。

 仲間は決してエリートではない。柏レイソルのアカデミーに所属していたが、トップチームへの昇格は叶わず、J2のロアッソ熊本からプロキャリアをスタート。その後、J2で実に9年間、地道な努力を続け、J1の古巣・柏へと帰還した。「柏のトップへ上がれないとわかったときの悔しさが今の自分をつくったと思う」。彼が日頃から醸し出すポジティブな雰囲気と一つひとつのプレーから感じられる情熱は、苦難のときを乗り越えてきた力強さと揺るぎない自信から生み出されるのかもしれない。

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 いま、チームはリーグ戦で直近5試合未勝利。そして、監督交代と非常に苦しいときを過ごしている。そんな逆境に立たされたときこそ、幾多もの苦難を乗り越えてきた彼の活躍に期待してしまう。どんなときも他責にすることなく、「自分たちに矢印を向けないといけない」と、自ら解決策を進んで探す仲間の姿勢は、とても頼もしい。

「思うような成績を残せず、申し訳ない思いが大きい。監督が代わるという形にはなりたくなかった。それは選手たちみんなが思っていること。ただ、この世界は結果がすべて。しっかりと結果を受け止めて、次に向けて、なにかを出発しないといけないし、ここからリスタートしないといけない。いつまでも悔やんでいても仕方ないし、前を向いて、上を目指していく」

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 期待に応えられなかった悔しさを滲ませながらも、ポジティブなエネルギーに変換し、力強い言葉で返してくれた。だからこそ、彼はここまで足を止めることなく成長し続けてこれたのだろう。

「自分自身はまだタイトルを獲ったことはないし、見てみたい景色。獲った人にしかわからないものがあると思うので、今はそこに向かって突き進むだけ。それをつかむためにアントラーズに来たんだから」

 タイトル獲得のために、どんなときでも「全力を尽くす」ことを誓う。そして、さらにアントラーズファミリーの力強い声援があればーー。彼はもっと力を発揮できるはずだ。

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「自分はYBCルヴァンカップの福岡戦で初めてアントラーズのファン・サポーターの声援を聞いた。知ってはいたけれど、実際に声を聞いて、やっぱりすごいなと。鳥肌が立ったし、体の中から力が沸いてくるような感じ。声援があるだけでチームは勢いに乗れるし、耐えなければいけない時間帯も我慢できる。ギアが一つ上にあがる感覚があった」

 力を出し惜しむことなく、彼に大きい声援と拍手を贈ろう。必ずその期待に応えてくれるはずだ。仲間隼斗がアントラーズを勝利へ導く。

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