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 アルトゥール カイキが止まらない。公式戦直近5試合で4ゴール、「僕にも良い流れが来ている」と、本人も好調を実感している。

 レネ監督の就任はカイキにとって、間違いなく大きな転機となった。今のチームが目指すスタイルは、攻守両面において強度が求められる。恵まれた身体能力を持つカイキは、そこにうまくフィットした。

「新しいスタイルとなって、求められることも変わった中で、監督は選手個人やチーム全体に求めていることを分かりやすく落とし込んでくれた。ここまでは監督の起用に応えることができていると思うし、それがゴールという結果にもつながっている」

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 ただ、好調の要因はレネ監督の就任だけではない。本人に話を聞けば、「チームメートとの連係が深まったこと」も、結果を残せるようになった一つの理由に挙げた。

「互いの特長を理解し合うのは大切なこと。ポルトガル語と、教わった日本語をつなぎ合わせながら、コミュニケーションを取っているよ。ちゃんと通じているのか、わからないけどね(笑)」

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 底抜けの明るさを持つカイキは、みんなから愛される存在だ。ロッカールームではいつも音楽を流し、陽気に踊り、チームの雰囲気づくりに一役買っている。エジプトやサウジアラビアでのプレー経験がある彼は、習慣や文化、言葉の異なる地での溶け込み方を心得ている。

「ピッチ内外で、全員と様々な話をしてコミュニケーションを取っている。僕はジョークも好きなので、チームメートをイジったりするし、みんなも僕のことをイジってくる。難しい日本語などもあるが、みんなが教えてくれたり、手助けをしてくれる。優磨や幸輝はオープンな性格なのでよく話すし、綺世は自分の世界を持っているけれど、イジるのが大好き。そういう楽しい雰囲気はがありながらも、いざピッチに入れば、責任を持ったプレーや取り組みが必要になってくる。アントラーズはオンとオフがしっかりと区別できるチーム。ピッチ内外でのチームメートとの関係は非常に深まっている」

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 陽気な性格のカイキだが、ことあるごとに真面目な一面も垣間見える。本人が話すとおり、「オンとオフの切り替え」はしっかりしており、フットボールへ真摯に取り組む姿勢は尊敬に値する。ピッチに入れば、戦う選手へと変貌を遂げ、勝利への献身を厭わない。好調を維持する今も、奢るような素振りは一切見せず、むしろ好調な今だからこそ、気を引き締めて、試合に臨んでいると話す。

「いまの好調を継続して行くことが大事。首位となり、その座を奪いたいというチームが出てくるはず。その中での戦い方を全員が理解しなければいけない。我々から勝利を手にすることは簡単ではないというところを見せていきたい」

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 カイキは「リスペクト」と「謙虚さ」を大切にする。それは、今は亡き父から授かった言葉をずっと胸に刻んで戦っているからだ。

「どんな状況にあっても、相手をリスペクトすること。常に謙虚さを忘れてはいけないよ。人としてもプロのフットボーラーとしても、謙虚さを欠いたらおしまいだ。謙虚さがあってこそ、才能も伸びるし、実力を発揮することができるんだ」

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 カイキが大切にする価値観はクラブの信念とリンクする。「居心地の良さ」を感じるのも、それが一つの要因なのかもしれない。

「ファン・サポーターの皆さんに約束したいのは、ピッチのなかで皆さんの思いを背負って、チームのために献身性や犠牲心を持って戦うということ。それが自分自身のプレースタイルだと思う。そして、皆さんが与えてくれている優しさや温かさに対して、勝利という結果で恩返しがしたい」

 チームを明るく照らしながら、勝利への献身を尽くす。背番号17、アルトゥールカイキの躍動はこれからも続く。

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