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 2021シーズン、常本佳吾は開幕に出遅れたものの、監督交代を機に定位置を確保。結局、公式戦37試合に出場した。

 プロ1年目の成績としては、十分に満足できる数字かもしれない。ただ、本人は満足するどころか、むしろシーズンが終わって、充実感よりも悔しさがこみ上げてきたという。

「『即戦力にならなければいけない』という強い思いをもって、2021シーズンに臨んでいた。というのも、一昨季は特別強化指定選手として練習に参加していたので、環境に慣れていることも含め、自分はできて当たり前だと思っていた。タイトルを獲るためにアントラーズに加入してきたし、同期のなかでは一番活躍しなければいけないという思いもあった。だけど、1年目は試合に絡みながら、そこに手が届かなかった。悔しい思いを味わったし、自分の力不足を感じた」

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 そんな1年目の経験を経て、迎えた2年目。今シーズンは「チームを勝たせる選手」になるため、さらなるレベルアップを誓う。

「自分の良さは、明確に守備の1対1での勝負強さや対人の強さだと思っている。そこはブレずにやっていきたい。一方で、アントラーズの歴代のSBは日本代表に選ばれてきたように、みんな攻撃でも貢献している。だから、守備が強くてボールを奪える選手だったとしても、クロスを上げ切る、アシストを記録するといった数字を残していかないと、自分は『アントラーズのSB』になったとは言えないと思う」

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 同じポジションのチームメートと比較しても、攻撃面での貢献度は大きな差があると感じている。相手が嫌がるほどの強烈な個性を自分も発揮したい。そう強く思うようになった。

「陸斗くんや幸輝くんは、攻撃においても自分の色を持っている。なかでも幸輝くんは技術だけでなく、駆け引きで相手を抜いていくうまさがある。その勢いやタイミングについて教えてくれるので、勉強になっている。聞けば、聞くほど、相手にとって怖い存在だなと感じる」

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 チームへの貢献度を高めるためには、攻撃面の向上は必要不可欠。自らのプレーを分析し、改善を目指す。

「攻撃参加するタイミングが決して悪いわけではない。でも最後、クロスの質というところでは、自分は相手が嫌がるボールを入れられていない。守備では自分との1対1を嫌がって、サイドを変えられることもあるけれど、攻撃面では自分は相手に怖がられていない。自分でも嫌がられていないことは感じているので、そこが自分に足りないところ」

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 いま、追い求めているのはクロスの質。キックの精度のみならず、ボールを置く位置やクロスを上げるまでの動きの質を突き詰めていく。

「クロスを上げる前の段階が重要だと思って取り組んでいる。自分はあまり器用なタイプではないし、意識したからといって明日から変わるものではない。時間をかけて取り組んでいきたい」

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 そんな細部へのこだわりをもって地道にトレーニングを続ける常本だが、試合では「とにかく勝利にこだわりたい」と、チームの結果を最優先に考える。最終的な目標はチームを勝たせる選手。目的と手段が入れ替わることはない。「勝ちながら成長していく。これは大学時代から自分が好きな言葉の一つ」。目の前の一戦に勝利することが、自分を最も成長させる手段だと知っている。

「勝負強さが大事。勝つためには手段は選ばないという姿勢じゃないけれど、何が何でも勝つところ。それに僕自身、勝つことがなによりも好き」

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 攻撃面で進化を遂げ、真の『アントラーズのSB』になることを目指す。ただ、目の前の試合で意識することは変わらない。

 すべては勝利のために。

 常本佳吾は全力でピッチを駆け巡る。

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