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 仲間隼斗の歩みは決して順風満帆ではなかった。柏レイソルのアカデミーで6年間を過ごすも、トップチーム昇格を果たせず、J2でプロキャリアをスタート。ロアッソ熊本から、カマタマーレ讃岐、ファジアーノ岡山と渡り歩き、実に9シーズンをJ2で戦った。厳しい環境で地道に努力を重ねる日々。思い通りにいかないことも多かった。当時は数年後に自分がアントラーズでプレーすることなど、想像もできなかったという。

「僕は9年間、J2を舞台にプレーしてきた。だから、アントラーズは対戦相手というよりも、『外から眺めるチーム』という印象だった。どんな場所でも、どんな状況でも、勝利にこだわって、独特の強さを発揮する日本一のチームだなーー。外から見て、ずっとそう思っていた」

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 ただ、そんな難しい状況でも、フットボールへの情熱が心に火を灯し続けてくれた。

「自分自身、どのカテゴリーに所属しても、フットボールを思い切り楽しみながら、常に勝負にこだわり、誰にも負けたくないという思いを持って取り組んできたつもり」

 そう明るく話す仲間は、すべてを包み込むような優しさと渋さを醸し出した。「渋さ?苦労してきた証かな」。優しい笑顔の裏側に、血のにじむような努力があったことは言うまでもない。

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 そんな苦労人は、柏レイソルへの復帰を経て、2022年にアントラーズへ辿り着いた。移籍先に選んだ理由は、シンプルに「タイトルを獲るため」。土居と並び、いきなり日本人最年長になったことには「正直、驚いた」と話すが、「昔からあまり年齢を気にしないタイプ。自分の気持ちはまだ若いし、日本人最年長ということは特に意識しない」と笑みを浮かべた。貪欲な成長意欲は、30歳を目の前にした今も衰えることがない。

「個人的なテーマは、チームが描くテーマと一緒。それは、日本一になるために成長を続けていくこと。常に成長あるのみだし、現状に満足して、そこに居続ける意識が芽生えれば、一気に衰退してしまう。だから、日々のトレーニングを通して、一歩ずつ階段を上っていきたい。そのイメージをチームメートのみんなと共有できれば、強い自分に、そして強いアントラーズになっていけると信じている」

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 そんな姿勢に、チームメートも大きな刺激を受けている。三竿が「年齢を感じさせない熱さを感じる」と話せば、優磨も「一番気合を感じるかもしれない。途中出場からでも、チームのギアを上げるプレーをしてくれる」と尊敬の念を語った。仲間自身、「チームのためになるならば、どんな仕事も引き受ける」と話していたが、彼が与えるチームへの影響は計り知れない。

「『どこにも負けてはならない』、『日本一を目指さなければならない』というクラブの信念は、自分と繋がる部分がある。自分らしさを前面に出せば、いい形でチームに伝播させられると思う」

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 思い返せば、仲間はチームに合流した直後から、長年アントラーズでプレーしてきたかのような雰囲気を醸し出していた。それは彼の生き様とクラブの信念がリンクする部分があったからかもしれない。

「攻撃でも、守備でも、アグレッシブに戦う姿勢は誰にも負けない。チームのためになるのであれば、どの仕事でも厭わないし、組織のために全力を尽くす部分が自分のストロングポイントだと考えている」

 彼はどんなときも全力で、チームのために献身を尽くすことを誓う。これまでの試合を見れば、それが口だけでないことが分かる。苦しいときは、背番号33の姿を見れば良い。

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「自分はタイトルを獲るために、覚悟を持ってアントラーズに移籍してきた。どんな厳しい試合でも、必ず勝利に繋げられるように、走って、走って、チームのためにとにかく走る」

 仲間隼斗は誰よりも走り、戦う。すべては勝利のために。

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