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 樋口雄太にとって、小学生の頃から在籍した鳥栖を離れることは、決して簡単な決断ではなかった。ただ、さらに成長を遂げるためには、環境を変えて、新たな挑戦を始めるタイミングが今だと感じていた。

「最後の最後まで悩んでいた。だけど、自分のなかには『日本代表になる』という目標があった。そのためにアントラーズという新しい環境に身を置き、さらなる成長を目指す道を選んだ」

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 加入前から、アントラーズに対して、Jリーグの他のどのチームよりも「勝負に対する強い執念を持っているチーム」という印象を抱いていた。実際にチームに合流してみても、やはり勝利へのこだわりは、驚くほど強く感じられた。

「チームに合流した初日から大きな刺激を受けた。初日の練習から高い強度でプレーしていることには、本当に驚いたし、選手一人ひとりがチームが勝つために行動している。普段はみんなとても仲が良いし、和気あいあいとやっているけれど、いざトレーニングが始まれば、勝利への執着心を凄い感じる。この環境で、常にレベルアップしていけるように日々取り組んでいきたい」

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 その言葉からも分かる通り、雄太は強い向上心の持ち主だ。これまでの彼のキャリアを振り返ってみても、毎年、新たなことに挑戦し、プレーの幅を広げてきたことが分かる。一昨シーズンまでは、中盤の攻撃的なポジションを主戦場としたが、昨シーズンはアンカーに挑戦し、プレーエリアをさらに拡大。定評のあった足元の技術に加え、位置的な優位を取る戦術眼、試合終盤まで全く落ちることのない運動量、中盤の選手として求められる要素を着々と伸ばした。

 しかし、もう一段階、選手としてレベルアップするためには、まだ足りないことがあると言う。

「球際のバトルを制する力、1対1の場面でボールを奪い切る力など、今の自分が持ち得ていない能力をアントラーズで身につけたい。特に守備面に磨きをかけることで、選手としての価値をより高めたい。それと同時に、相手と相手の間の狭いスペースでパスを引き出し、ターンしながら前線にボールを運んでいくプレーが、僕の特長の一つ。昨シーズンはフィニッシュの部分に手応えをつかめたので、今後は攻撃の起点となるようなパス出しも磨いていきたい」

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 今年26歳を迎える雄太は、今後のキャリアを「選手として脂が乗ってくる時期」と位置づける。キャリアハイとなった昨シーズンの個人成績も、今シーズンで更新するつもりだ。

「リーグ戦37試合6得点という成績は意識するし、スタメン争いに食い込んでいくためにも、昨シーズンの数字を超える活躍を見せたい」

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 同時に、Jリーグの舞台で培ってきた経験を存分に生かし、若手の台頭が目立つ現在のアントラーズを牽引する決意だ。

「若いチームの中では、自分たちの年代が中心となっていかなければならないと思っている。新加入選手の一人ではあるけれど、今年からアントラーズを引っ張るという気持ちを常に意識しながらやっていく」

 簡単ではない決断を下したからこそ、揺らぐことのない覚悟がある。樋口雄太はさらなる成長を誓い、アントラーズにタイトルをもたらす。

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