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 土居聖真は今季の前半戦を「一番大きな出来事で言えば、監督が代わったこと。一桁順位まで行くのに本当に厳しい戦いが多かった」と神妙な面持ちで振り返る。

 思い返せば、シーズン開幕当初は本当に苦しい戦いが続いた。開幕戦で清水に敗れると、第5節福岡戦から第7節浦和戦まで屈辱の3連敗を喫する。その後、チーム状態は少しずつ上向きになったため、開幕から約2ヶ月半が経った5月9日の第13節まで、ずっと二桁順位から抜け出すことができなかった。

 ただ、苦しい時間を過ごしたことで、原点に立ち返る必要性を感じることができた。相馬監督の就任を機に「アントラーズらしさ」を改めて見つめ直し、内容よりもまずは結果を求める戦い方にシフトしていく。

「内容よりもまずは結果。試合の状況や流れに応じたプレーを選択できることも、僕が知る“鹿島”だと思っている。タイトルを獲ったときを振り返れば、2016年にJリーグで優勝したときがまさにそうだった。あのときは、89分間ずっと攻められていても、最後の1分で点を取って、勝った試合がかなり多かったと思う。相手に8割ボールを持たれていても、好機にはカウンターからゴールを決めて、勝利をもぎ取る。チーム全体が常に勝つことを意識してプレーしていたし、試合中も勝つ方法を探していた。だから、あのときは、たとえボールを持たれていても、戦っている選手たちは守備的だとすら考えていなかった」

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 過去の経験を元に、土居は言葉をつづけた。

「(当時は)一つひとつのプレーが、一瞬、一瞬、勝つためにあった。勝つための選択や判断。そうした共通認識をもった選手が本当に多かった。強いアントラーズを取り戻していくためには、相馬アントラーズになって、どれだけの選手たちがそれを感じることができるかだと思う」

 今のチームには優勝を経験したことのない若手選手が多い。キャリアを重ねた土居にとって、いまのチームメートに当時の経験を還元することも、重要な役割の一つとなっている。

「チームがタイトルを獲ったとき、勝ち続けたときを思い起こすと、そこにいき着く。ちょっと苦しいときにボールを落ち着かせてくれる人がいることが、どれだけチームにとって大きな存在だったか。それを僕は学んだし、感じた。また、そうしたプレーがチームメートに信頼され、頼りにされていく。プレーしていくうえで、一番大事なこと」

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 フットボールは11人全員の力を合わせなければ、どんな試合も勝利は掴めない。

「前半戦で1人だけの力では勝てないというのをすごく実感した。いつも『一致団結しなくてはいけない』ということを言葉にするけれど、それをさらに感じる前半戦だった。後半戦はそれを揺るがないものにしなくてはいけないと思う」

 チーム全員の団結力。それが後半戦を勝ち抜くカギになると土居は話す。

「そこを自分たちのストロングポイントと自信に変えて、一つずつ順位を、勝ち点を積み重ねていきたい。いつも応援してくれているファン・サポーターの皆さんにも、そういう気持ちで一緒に戦ってもらいたいと思う」

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 どんなときも全身全霊をかけて、アントラーズのために戦ってきたという自負がある。だからこそ、みんなへ伝えたい。全員の気持ちを一つにして戦うことが必要だと。

「どんなに勝っていても負けていても、悪くても良くても、僕らのプレーをスタジアムに観に来てくれているファン・サポーターは、一緒に戦って、一緒にプレーしてくれている。その気持ちを拍手などで感じられる。言葉で表すのは難しいけれど、一心同体になって戦ってくれているのは、声を出せない応援だからこそ感じること。今はコロナ禍という状況が続いているけれど、逆にそれがあったからこそ気付く。ファン・サポーターさんとの関係性がすごく感じられるーー。皆さんの応援があってこその鹿島アントラーズ。今シーズンも残り半分となったけど、まだ後半戦は始まったばかり。楽しみながら一緒に戦ってもらいたい」

 再び強いアントラーズを取り戻すために。土居聖真は熱き思いを胸にカシマスタジアムで戦う。

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