今シーズンの開幕直前、荒木遼太郎はこのように意気込みを語っていた。
「試合に出るだけでは満足できない。出てどれだけ結果を残せるかが大事になってくる。それが自分の評価にもつながるので、ピッチに立って満足するのではなく、結果を残してチームの勝利に貢献したい」
その言葉通り、荒木は開幕からの3試合で4ゴールを決めた。有言実行ともいえる見事なスタートだった。
「個人的に今年はいいスタートダッシュを切りたいなと考えていて、オフシーズンの段階から自主トレで体づくりをしたり、自分なりに準備をしてきた。また、2年目ということで精神的なゆとりがあるし、周りが良く見えるようになったと自分でも感じている」
心身ともに理想的な状態でピッチに立てたことで、自身が担うべき役割やプレーを瞬時に把握できるようになった。プレーエリアも昨季より格段に広くなり、ビルドアップに貢献しながら相手のゴール前でも決定的な仕事を遂行できるようになった。
「やっぱり得点が欲しい。特に序盤はチームとしてあまりゴールが多くなかったので、チームを助けるためにも自分が点を取って勝たせたいと考えていたし、昨年よりも強い意識をもってゴールを目指している」
序盤でのゴールラッシュの後、しばらく得点から遠ざかっていた荒木だが、明治安田J1第14節横浜FM戦でリーグ戦11試合ぶりのゴールを決めると、直近のC大阪戦でも決勝弾を決めて、チームを勝利に導いた。
理想の選手像を聞かれた荒木は「得点もアシストもできて、守備でも貢献できるサイドハーフになりたい」と話した。課題の守備面についても、「選手同士がバチバチやり合っている」と語るアントラーズの練習環境のなかで、徐々に手応えを掴んでいる。
「フィジカルコンタクトのタイミング、体の当て方、当てどころについては、昨年1年間でけっこう慣れて、今年は昨年ほど負けていないと感じている。まだまだ負けている部分もあるけれど、昨年と比べたら今年はいい形で守備ができていると思う。練習では常に健斗くんが強烈なタックルをしてくるので、それを体感して学んでいる。健斗くんのタックルに対応できるようになれば、Jリーグの試合でも怖いものなしでプレーできると思う」
そんな著しい成長を続ける荒木は、主力選手としての責任感も芽生え始めている。
「若手グループの中心となって、みんなを引っ張っていなければいけないと思っている。バチバチやり合う練習の雰囲気、一人ひとりが本気で求め合う姿勢は、自分たちが受け継ぎ、今後も示していきたい」
中心となって、もっとチームを牽引しなければいけない。期待を一身に背負う覚悟はできている。
さあ、次は真価を問われる川崎F戦だ。この試合も荒木には求められる役割は多岐に渡る。勝利のためには彼の活躍が必要不可欠だ。
「アウェイだがチーム一丸となって、チャレンジャーとして戦い、勝ち点3を掴みたい」
未来を担う19歳。荒木遼太郎がアントラーズを勝利に導く。