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 2020シーズン、JFA・Jリーグ特別指定選手としてチームに加わった常本佳吾は、ユース時代を過ごした横浜FMとのリーグ戦でデビューを果たした。しかし、昨季の出場はこの1試合のみ。昨年を振り返って本人の胸に残ったのは、デビューの喜びよりも悔しさだった。

「(横浜FM戦で)勝利できたことはチームとして100点だと思う。でも、自分としては3ヶ月間も帯同して11分間出場しただけ。まだまだだなと感じた」

 自身への要求の高さは目指すものの大きさに比例する。アントラーズへの加入を決めたのも『負けず嫌い』、『常に勝ち続けたい』という性格が大きく影響していた。

「アントラーズのSBは代々素晴らしい選手が務めてきたし、攻守においてとても重要な役割を担ってきたポジション。ここで自分の力を発揮できれば、その先の未来にもつながっていくと思う。一人の選手として勝負がしたい。そう、覚悟を決めた」

 “アントラーズのSB”を名乗る責任を常本は良く理解している。アントラーズでレギュラーを勝ち取るということは、名良橋晃や内田篤人といった偉大なレジェンドたちと肩を並べる存在に成長する必要があると。

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 そんな彼の高い志はすぐに結果にも現れた。シーズン開幕当初はメンバー外が続いたが、YBCルヴァンカップの福岡戦でアピールに成功すると、相馬監督の初陣となったリーグ第10節徳島戦以降は、リーグ戦3試合連続でスタメンに名を連ねている。

 出場機会の増加は常本への期待の現れだ。相馬監督はリーグ第11節神戸戦の試合後の会見で「(常本は)もっとできると思っている。その期待値からすると足りていない。もっと右サイドからいけると思う。シチュエーションとしてもそうなっていたので、そこでもう一つ思い切りを出してほしかった」と厳しく語った。要求の高さこそ、大きな期待の裏返しだろう。

 もちろん、出場機会が増えても、本人に浮かれる様子は一切ない。「相馬監督が就任して守備に重点を置くようになったと感じる。それもあって、自分の良さである守備の強度を評価され、試合に出してもらっていると思う」と客観的に自身を分析し、「プレー時間を重ねていくにつれて、自分の良さを出せるようになってきた。だけど、後半も前半と同じような運動量を出したいし、サイドバックとして走り切る部分、ゴールやアシストなど直接得点に絡むプレーも足りない」と冷静に課題を語った。求めるレベルはさらに高いと心得ている。

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「アントラーズのSBは“特別なポジション“。攻守においてとても重要な役割を担ってきた。自分の武器である運動量や対人の強さを生かしつつ、攻撃力を進化させなければいけない。タイトル獲得に向けて、チームの勝利に貢献したい」

 目指す頂は高い。だから、プロ入り1年目のルーキーという立場でも、結果にこだわる。チーム内外問わず、すべての競争に勝ち、その先の未来へつなげる。まだ22歳、でも「もう22歳」。成長のスピードを加速させる必要がある。

「個人的にはプロ1年目の今シーズンを『勝負の年』と位置づけている。自分の武器である運動量や対人の強さ、アグレッシブなプレーを発揮しながら、チームの勝利に貢献したい。1対1をはじめ、ディフェンス面では絶対的な自信がある。この先は得点に絡むプレーについても、より一層極めていきたいし、攻守両面で自分の良さを出して存在感を示せるようになりたい」

 尽きることのない上昇志向を胸に、攻守両面でさらなる成長を目指す。誰もが認める“アントラーズのSB”になるために、常本佳吾はカシマスタジアムで飛躍を誓う。

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