PICK UP PLAYER

photo

 白崎凌兵はアントラーズ加入3年目を迎えた。1年目は怪我で出遅れながらも、シーズン途中から定位置を確保し、献身的なプレーでチームに大きく貢献した。

 しかし、2年目の昨季は非常に苦しい1年になった。1年目同様、シーズン序盤に負傷離脱を余儀なくされると、なかなか序列を覆すことができなかった。そして、シーズン途中にようやくザーゴ監督からの信頼を勝ち取るも、再び同じ箇所を痛めてしまい、長期離脱を余儀なくされた。結局、2年目はリーグ戦9試合のみの出場にとどまり、本人としても非常に悔しい1年になった。

 再起をかける今シーズン、白崎は例年よりもさらに徹底したコンディション管理を行った。「昨年に限らず、シーズン序盤は怪我で出遅れることが多かったので、まずは怪我をしないためのケアをしっかりしようと思った」と話し、練習前に身体のケアを行う時間を設けるようになった。

「練習に参加し続けられれば、おのずとコンディションは上がってくるし、コンディションが上がれば、やれる自信はある。ここまで怪我をしていないことは自分にとって大きい」

photo

 コンディションの向上はすぐに結果へ結びついた。今季初先発となったYBCルヴァンカップの鳥栖戦でいきなりアシストを記録する好パフォーマンスをみせる。本人も「監督から求められていることや自分がどのようにチームへ貢献するかという部分が見えてきている」と話し、「自分のコンディションは悪くないので、もっと貢献していきたい」と、手応えを感じ取っていた。

 その後のリーグ戦3試合は出番が回ってこなかったが、リーグ第6節名古屋戦からは毎試合出場機会を得ている。そして、ついに前節の柏戦で復帰後初ゴールを決めてみせた。

 試合終盤の88分、永戸からのグラウンダーのクロスをダイレクトで合わすと、シュートは相手に当たってコースが変わり、ゴールネットに吸い込まれた。試合後に「『勝ちたい』という気持ちがゴールを後押ししてくれた」と語ったとおり、まさに気持ちがボールに乗り移ったかのようなゴールだった。

photo

 しかし、試合後のインタビューで白崎が喜びの表情は見せることはなかった。「浦和戦は本当に悔しい試合だったし、『勝ちたい』という気持ちだけだった。『勝つしかない』という気持ちを一人ひとりが感じていたし、自分の出場時間は短かったけど、チームの力になりたいと思って試合に入った」と淡々と語り、「あんまりボールに触れなかったので、まだまだ課題は残る。『今日、勝ってよかった』と言えるチームではない。ここから巻き返していかないといけない。そのスタートになればいいと思う」と表情を引き締めた。

 いま、自分たちが置かれている状況は理解している。ここから巻き返していかないといけない。

photo

「うまくいかないときもあるが、このような時に勝つことで、前を向けるし自信になる。勝たないといけない。これを続けていくことが大事だし、次の試合が大事になる」

 さあ、真価が問われるアウェイ札幌戦。チームの勝利だけを考える白崎が、必ずや歓喜をもたらしてくれることだろう。

photo


pagetop