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 プロ2年目の昨季、上田綺世は自身初の2桁得点をマークした。そして、今季は背番号を自身が希望した「18」になった。否が応でも周囲からの期待は高まる。

「責任は増しているし、昨季終盤の活躍があったからこそ、今季も期待してもらえるはず。だから、昨季以上の結果を残したいと思って今季は臨んでいる。自分としても、今季はスタメンに定着するチャンス。アントラーズを背負う立場になるチャンスをつかめた手応えはあるので、その責任をプラスの力に変えていきたい」

 これまで以上に責任と覚悟を胸に刻み、2021シーズンへ臨んだ。

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 迎えたリーグ開幕戦、上田は2トップの一角で先発した。試合前に「昨季以上のパフォーマンスを出す準備はしてきた。それをぶつけたい」と意気込んだとおり、遠い位置からでも積極的にシュートを放ち、ゴールを狙い続けた。しかし、結果に繋がることはなく、チームは1-3で敗れ、自身も無得点に終わった。試合後には悔しそうな表情でこう語っていた。

「この負けはすごく痛い。昨シーズン、その痛みを感じて身に染みているので、また同じ失敗をしないようにしたい。優勝するために、リーグ戦もルヴァンも、1試合1試合戦っていきたいと思う」

 だが、その強い決意とは裏腹に、戦線離脱を余儀なくされた。その間、チームは鳥栖戦、湘南戦こそ勝利を飾ったものの、広島に引き分け、福岡に敗れた。つづく名古屋戦で、上田は途中出場から復帰を果たすも限られた時間で結果を残せず、チームも敗れてしまった。

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 開幕から1ヶ月が経過した。大きな期待を背負い、覚悟をもって臨んだシーズンだったはず。責任の重さは強く感じていた。次こそは決めるーー。そんな得点への渇望を全身に漲らせて、直近の福岡戦に臨んだ。

 結果は、2ゴールの活躍。まずは立ち上がりの9分、コーナーキックからニアへ飛び込み、ヘディングで先制点を決めた。さらに35分、エヴェラウドからの縦パスを呼び込むと、懐の深い切り返しから右足を振り抜いた。強烈なシュートはバーに当たってゴールラインを割った。セットプレーと流れの中から1点ずつ、狙い通りの形で得点を決められた。上田は確かな手応えを感じた様子だった。

「自分なりに勝負した結果がゴールへとつながった。今日のように、多くのゴールを決めて勝てたというところは自信になる。間違いなくこの流れは次のリーグ戦へつながっていく。早い段階で巻き返していきたい」

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 振り返れば、昨シーズンもそうだった。序盤は負傷離脱があり、なかなか出場機会を得られなかった。だが、一度波に乗れば、量産体制に入った。きっかけさえ掴めれば、得点は自然と増えていくはずだ。

 そして、上田が決めれば、チームは勝つ。昨季、上田が得点した全7試合でチームは勝利を収めている。福岡戦の勝利により、連勝記録は「8」に伸びた。自分が得点すれば、チームを勝利に、そしてタイトルに導くことができる。それは誰よりも上田自身が自覚している。

 ただ彼は得点へのこだわりをもちながらも、チームの勝利を最優先に考えたいと話す。決して、自らの得点だけに固執したくないという。

「ストライカーなので、エゴイストに思われがちだけど、僕は自分にパスが出てこなくても、走っておとりになったことで、他の選手がゴールを決められたらそれでいい。逆に僕らをおとりに使ってくれれば、また僕らのところが空いてくるかもしれない」

 得点はあくまで手段であり、チームプレーが最優先。得点の取り方を知っている彼だからこそ、この信念を貫ける。

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「このチームでタイトルを獲りたい。活躍したい。このチームで何かを成し遂げたい。そう強く感じている」

 誰もが認めるアントラーズのエースストライカーへ。その日は確実に近づいている予感がある。ライバルとの一戦は、そのきっかけになり得る。

 舞台は埼玉スタジアム2002。アウェイでも上田綺世は貪欲にゴールを狙う。目的はただ一つ。すべては勝利のためにーー。

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