PREVIEW

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 2020シーズンは新監督にザーゴを迎え入れ、高卒新人4選手を含め総勢11名もの新戦力が加わった。人が変われば、チームの雰囲気も一変する。過去の実績や貢献度が考慮されるとはいえ、選手個々の評価は横一線だ。ザーゴ監督のもと、積極的に主導権を握る新スタイルの構築を目指し、切磋琢磨するトレーニング風景は活気に溢れ、今後の期待を抱かせるには十分だった。

 しかし、思わぬつまずきに見舞われてしまった。ザーゴ新体制の初陣となったACLプレーオフで0-1と惜敗すると、YBCルヴァンカップ第1節、リーグ開幕戦にも敗れ、公式戦3連敗と出遅れた。その後、世界中を巻き込む新型コロナウイルス感染症の影響で、およそ3ヶ月の中断期間に突入。7月にJリーグが再開するも、さらに3連敗を喫してしまった。

 苦しいチーム状況が続いた。だが、サポーターはチームを信頼し、支え続けてくれた。だから、チームは下を向くことなく、失敗と改善を繰り返しながら、成長を続けられた。そして、ついに7月18日の横浜FM戦で連敗を止めると、継続して行ってきたトレーニングの成果が表れ、8月26日のFC東京戦から9月27日の大分戦まで、実に11年ぶりとなるリーグ戦7連勝を飾った。

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 シーズン後半は過密日程のなかでも連敗することなく、安定して勝ち点を積み重ねていった。しかし、自陣で守備を固める相手に対しては苦戦を強いられ、試合展開によってはパフォーマンスが低下した。そして、優勝の可能性は潰え、ACL出場権争いに回ることになった。

 2020年12月19日、リーグ最終節は勝ち点1差を追うC大阪との直接対決だった。先制点を奪われた後、エヴェラウドのゴールで同点に追いつき、後半アディショナルタイムへ突入。怒涛の連続攻撃を仕掛けたアントラーズだったが、シュートは相手GKの好セーブやポストに嫌われた。結果は1-1の引き分けに終わり、5位でフィニッシュ。天皇杯の結果次第では、4位でACLプレーオフ出場権が得られる状況だったが、あと1点に泣いた。この悔しさは絶対に忘れない。

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 あれから約2ヶ月、チームはタイトル奪還への決意を胸に深く刻み込み、新シーズンに向けて準備を進めた。宮崎キャンプではこれまで継続して取り組んできた戦術を再度確認し、さらに進化を遂げるべく、新たな挑戦にも取り組んだ。そして、個性豊かな新人6選手の存在は、チームに新鮮な刺激をもたらし、競争意識の向上につながった。選手たちは口々に「今年こそタイトルを獲る」と語り、程よい緊張感と一体感に満ち溢れている。

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 準備は整った。ここからまた激闘の日々が幕を開ける。長く険しい道のりには、さまざまな困難が待ち受けているだろう。だが、厳しいときこそ、アントラーズファミリー全員の力を合わせて、乗り越えよう。信じる道を突き進めば、必ず自分たちが立つべき場所に辿り着ける。

 勝利を積み重ねた先にある、栄光の景色をみるために――。クラブとサポーターが一つとなり、「しんか」をみせる2021シーズンが始まる。

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