加入1年目ながら、エヴェラウドは今季ここまで16ゴールと見事な成績を残している。ただ、彼の貢献は数字だけでは現わせない。得点以外でも安定したポストプレーでチャンスを演出し、守備面でも献身的に走り、チームメートたちを大きく助けている。
本人も特にディフェンス面での貢献は強く意識しているところだという。「FWとしてチームから求められていることのなかには、前線からの守備も大きな比重を占めている。個人的にも前線から運動量多く体を張った守備をするのは嫌いではない。もっと守備でもチームに貢献したい」と意欲的に語っていた。
献身的に守備が印象的なエヴェラウドだが、もちろんストライカーとしての矜持も強く持っている。得点へのこだわりについて尋ねると、熱のこもった言葉でこう答えてくれた。
「ゴールを決めることへの責任がある。そのために、周囲に要求し続けなければいけない。MFであれば決定的なパスを出すこと、DFであれば守り切ることと同じように、FWである自分はゴールを決める責任を求められている。だから、そこにトライし続けたい。ときにはパスを出した方がいいときもあるかもしれない。シュートミスするシーンもあるかもしれない。だけど、自分としてはその瞬間、その瞬間で、『逃げの判断』をしないということだけは、常に強く意識している」
貪欲にゴールを狙う姿勢は、一見エゴイスティックに見えなくもない。だが、彼の場合は違う。得点を自らの責務と捉え、チームを勝利に導くための手段と考えているから、数多くのシュートを放っているのだ。
「ストライカーは仲間がパスをつないで作り上げてくれたものを、最終的に決める役割を担っている。だからこそ、90分間、集中力を絶やすことなく、ゴールを狙っていなければいけない」
真面目な性格はプレースタイルにも現れている。味方に合わせて何度も動き直し、最適なポジションを取る。毎回こぼれ球にも素早く反応する。「常にボールを受けられるように待ち構えている」。得点を取るために、チームを勝利に導くために、どんなときも最善の準備を尽くしている。
用意の周到さは、試合中だけではない。普段のトレーニングから「一切、手を抜かずに、周囲を盛り上げたい」と高い意識で取り組んでいる。「練習中も集中力を高く保って、グループ全体が一つの戦う集団として、まとまる手助けをしたい。姿勢の部分でもチームに示していきたい」と語っていた。
どれだけ得点をとっても、謙虚な姿勢のまま。「僕に求められているのは、ゴールを決めること、チームの勝利を勝ち取ること。それさえブレなければ、アントラーズでも成功を収められるし、成長できると信じている」と話す。驕りや慢心とは無縁だ。
そんな頼れるエースは、アントラーズファミリーへ一つだけお願いがあるという。
「ファン・サポーターの皆さんにお願いしたいことが一つだけある。それはアントラーズを信じ続けてほしいということ。このチームには、素晴らしい選手たちがいて、素晴らしいスタッフたちがいて、理想としているフットボールに毎試合近づいている。選手たちはタイトルも含め、本来、アントラーズがいるべき場所に戻ろうと日々追い求めている。それを手にできる日まで、ともに歩んでもらいたい」
さあ、浦和とのクライマックス。アントラーズファミリー全員で大きな拍手を送ろう。彼ならばきっと期待に応えてくれるはずだ。エヴェラウドが雄叫びを上げたとき、聖地はアントラーズレッドに燃え上がる。