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 明治安田J1第12節G大阪戦の試合前、この日がラストカシマとなった内田篤人に声をかけられた。「いろいろ背負わせてごめんね」。その一言に三竿健斗は涙をこらえきれなかった。

「泣きそうになって、ちょっと泣きました。円陣のときはいつもキャプテンがみんなに対して声掛けをするけれど、あのときは泣いちゃうから『勝とう』としか言えなかった」

 内田が選手生命を削りながら、懸命にリハビリやトレーニングに励む姿をずっと近くで見てきた。昨年まではキャプテンとして勝利のために仲間を鼓舞する姿を見てきた。だから、「憧れの選手」からかけてもらった言葉は本当に嬉しかったし、自信になった。

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 すでに在籍5年目。これまでアントラーズにユニフォームを纏う意味を、戦う責任を偉大な先人から学んできた。そして今季からチームキャプテンに就任した。これからはアントラーズの選手としての責任を自らが体現し、チームに伝えていく立場だ。

 本人も自らの役割をよく理解している。「周りに言うからには責任が生まれるし、自分が出来ていないのになんで言うんだってなると思う。自分にプレッシャーをかけながら、もっと強度を上げていきたい」と、“嫌われ役“になってでも、チームを牽引する覚悟がある。偉大な先人たちを間近に見て、学んできた健斗には、一切の妥協がない。

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 また、キャプテンになったことで、ピッチ上での振る舞いも変化した。特に顕著に現れるのが、自らミスを犯した場面だ。「自分のミスから失点したけれど、たとえそこでミスをしても、そのときの振る舞いが大事だと思う」と語る。

「ミスしたからといってキャプテンが下を向いて消極的になってしまえば、チーム全体に影響を及ぼしてしまう。だから、そこはある意味、開き直るくらいの気持ちが必要だと思う。キャプテンマークを巻いたからこそ、自分の士気がチームの士気に直結してしまうのでーー」

 意識の変化を語った健斗は、自身の尊敬する小笠原満男にも「『ミスしても自分で取り返せるんだから、それくらいのメンタルでプレーすればいいんだよ』と言ってもらった」という。揺るぎない自信と信念をもってプレーし、チームを勝利に導く。キャプテンには強いメンタリティが求められる、と改めて気づかされた。

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「失敗して成功して、その繰り返しだと思う。失敗なくして成功はない」

 どんなことがあっても前を向き、戦い続ける。毎試合チームの勝利のために全力を尽くす。その先に成長がある。心から愛するアントラーズで、偉大なる先人と比肩し得る存在へ。託された想い、サポ―ターからの期待を背負って、三竿健斗は勝利だけを求めて戦う。

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