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「勝てない時期が続き、フォワードなのに点を取れていなかった。重圧はあったし、本当に辛かった」

 今シーズン序盤、エヴェラウドはもがき苦しんでいた。母国で長いオフシーズンを過ごし試合間隔が空いた影響で、コンディションが崩れてしまった。また慣れない環境への適応にも苦しみ、なかなかトップフォームに戻らなかった。気持ちと体がフィットせず、もどかしい日々を過ごした。

 それでも、彼は努力を続けた。Jリーグの公式戦中断期間も、自宅で真面目にトレーニングを行った。言葉が通じない異国の地で、先の見えない不安に苛まれたこともあっただろう。だが、地道な筋力トレーニングで中断期間中に体重を約2キロ増量させ、本来のフィジカルとコンディションを取り戻してみせた。

 そして、全体トレーニング再開後は、ピッチ内外で仲間と積極的にコミュニケーションを取った。自分の狙いや相手の意図を聞いて、ゴールへの道筋をつくりあげていく。「もともと自分のスタイルとして、コミュニケーションを多く取って対話を重ねることを心掛けている。ただ、言語が違うので、試合中はすぐ伝えられないことが多い。だから、相手を分析した上で、トレーニングの中からチームメートに僕の狙いを伝えるようにしているんだ」。本人も意識的に取り組んでいたことを明かしてくれた。

「連係や意思疎通がすぐにうまくいくことはない。みんなで一緒に過ごす時間が大切だった」

 地道な努力は結果につながった。第5節横浜FM戦で初ゴールを決めると、第7節FC東京戦からは4試合で6ゴールと得点を量産した。その後もコンスタントに決め続け、今季ここまで得点ランキング2位タイの12ゴールを積み重ねた。エースストライカーとして文句なしの見事な成績だ。また、リーグ戦の出場時間は犬飼に次ぐチーム2位の数字をマークしている。この過密日程の中でコンディションを維持することは容易ではない。彼のプロフェッショナルな姿勢が現れた結果と言える。

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 ただ、エヴェラウドの貢献は数字だけでは表わせない。もちろん、数字へのこだわりはあるし、「フォワードはゴールをとってなんぼ」と、ストライカーとしての矜持を持ち合わせている。だが、本人は常々「一番重要なのは自分の得点よりもチームの勝利」と強調して語り、守備での貢献も必要不可欠だと考えている。

「もちろん、フォワードには得点が求められるけど、守備できるかできないかの差は大きい。そういう意識をもって相手のセンターバックと競り合うのは楽しいし、チームの一員として、チームを助けることができればいいと思って、守備も頑張っているよ」

 そんな献身的な姿勢は試合の至るところで見られる。第18節のホーム湘南戦、試合終了間際にアラーノが劇的なゴールを決めた直後の相手のキックオフの場面だ。相手が前線にロングボールを放り込んできたが、最終ライン手前まで戻り、これを跳ね返したのがエヴェラウドだった。彼の勝利への強い気持ちが現れた象徴的なシーンだ。

「全身全霊で1試合にかける気持ちを見てもらいたい。僕はピッチ上で献身的に努力を続ける」

 どんなときも全力で、献身的に、勝利のために戦う。仲間から愛されるエース。それがエヴェラウドだ。

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