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 加入4年目の昨季、町田浩樹は初めて1年を通してピッチに立った。最初はCBとして、シーズン途中からはSBとして試合出場の機会を得た。SBを経験したことで「1対1で負けない戦い方」、「CBがどんなプレーをすればSBが助かるか」、など多くを学ぶことができた。個人的には、プロ4年間で最も充実した年になったという。

 一方、1年間戦い抜くことの難しさも知った。どのようにコンディションやプレーの波を少なくするか。また、その波をどうやってコントロールし、チームの勝利に繋げられるか。さらなる課題が見つかった。

 そして、もう一つ。今季は心に決めていることがある。

「僕も若いとはいえ、育成上がりでアントラーズ歴5年はチーム内でも長い方になった。“アントラーズらしさ“というか。勝負強さや勝負にこだわる姿勢を、自分の振る舞いやプレーで伝えていかないといけない立場になった」

 指揮官が変わり、選手が大きく入れ替わり、フットボールスタイルが変貌を遂げた。アントラーズは目まぐるしいスピードで変化している。だが、その目まぐるしい変化のなかでこそ、町田は「アントラーズらしさという、“変えてはいけない“伝統がある」と語る。

「伝統を表現するためには、やはりタイトルが欠かせない。みんなで力を合わせて、一つでも多くのタイトルを獲りたい」

 アカデミー在籍期間を含めると、町田のアントラーズ歴は10年をとうに超える。小学4年でジュニア(つくば)の一員となり、ジュニアユース(つくば)、ユース、そして、トップチームと順調にステップアップしてきた。アントラーズで育ち、誰よりもアントラーズのことを思い、ずっとアントラーズの勝利を目指して戦ってきた自負がある。

「(ジュニアユースのとき)グラウンドに入る前、みんなで発する言葉があった。『すべてに感謝、尊重し、誠実な気持ちで献身的に戦おう』。今でも覚えているし、完全に体に染みついている」

 アカデミーで学んだ“ジーコスピリット“は、いまなお、町田の心と体に深く刻み込まれている。

「僕がトップチームに上がったころは、岳君(柴崎選手)や源君(昌子選手)がいたけれど、アントラーズ歴でいうともう上の方になっている。若いとは言ってられない。チームを引っ張っていく。そのくらいの気持ちでやらないといけないーー」

 DFリーダーの犬飼智也が累積警告で出場停止となる今節、最終ラインでリーダーシップを発揮し、アントラーズスピリットを表現する者が必要だ。町田には当然、その役割が期待される。

「周りからもかなりハッパをかけられている。年齢的には若いけれど、変な遠慮はせず、自分が最終ラインを統率するくらいの強い気持ちで取り組んでいきたい」

 アントラーズのDNAの継承者としてーー。求められる役割は理解している。町田浩樹がチームを統率し、カシマスタジアムに歓喜をもたらす。

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