PICK UP PLAYER

photo

 湘南から移籍してきて5シーズン目の永木亮太は、今年6月4日の誕生日で32歳になった。新加入選手が11人増えたアントラーズのなかで、在籍年数にしても、年齢にしていも、上から数えた方が早い。

 移籍1年目の2016年にJリーグと天皇杯の2冠を成し遂げ、2018年にはクラブの宿願だったACL初制覇に貢献した。闘争心溢れるプレースタイルは、勝利にこだわるアントラーズスピリットそのものだ。

「チームのなかで立ち位置が少しずつ変わってきて、自分のことだけでなく、チーム全体のことも考えないといけなくなってきた。ただ、あまり堅苦しくならず、自然体でいたい。チームへの思いというのは、無理しなくても自然に出てくるし、チームがいい方向にいくように、まずは自分自身がしっかり取り組まないといけない」

 永木の発する熱は自然とチームに伝播していく。ピッチを誰よりも献身的に駆け巡る姿、気持ちのこもった激しいタックルが、味方の闘争心に火をつけ、勇気を与える。そして勝利のために必要であれば、仲間との衝突も厭わない。気の抜けたプレーをみせた味方に対しては、躊躇なく激しい檄を飛ばす。でも、それは淀みのない純然たる勝利への情熱ゆえ。仲間も理解しているからこそ、ポジティブなエネルギーがさらに燃え上がる。表裏のない、ありのままの姿でぶつかることで、組織に貢献できる稀有な才能の持ち主だ。

 しかし、ボランチのポジション争いは熾烈を極めている。現時点では、三竿とレオのコンビがファーストチョイスとして起用されており、永木は試合途中から起用される機会が多い。思うように出場時間を伸ばせていない状況に、本人も「悔しさがすごくある」と語っていた。

「試合に出るには監督の要求にしっかり応えていかないといけない。前から積極的にプレッシャーにいける自分の持ち味をうまく当てはめながら、課題である展開力を磨きたい。ザーゴ監督のスタイルだからというわけではない。不用意にボールを奪われない技術や展開力は、ずっと意識して取り組んでいる部分。これからフットボールを続けていくうえで、そこのレベルアップは欠かせない」

 どんな状況に置かれても、向かうべきは自分自身だと心得ている。「向上心を持って、ブレずにやり続けること。日々のトレーニングのところからプレーの強度とか、自分のよさをどんどん出していく。そうすれば結果もついてくるはず」。酸いも甘いも噛み分けてきた永木には一片の迷いもない。

「試合に出て、チームの勝利に貢献して、なおかつタイトルを獲る。そのためにやり切るだけ」

 今節はキャプテンの三竿健斗が累積警告で出場停止となる。アントラーズスピリットをピッチ上で表現する者が必要だ。すべては勝利のためにーー。背番号6ならば、必ずその燃え滾る情熱と勝利への渇望をみせてくれるだろう。

photo


pagetop