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「勝つことが一番重要だった」

 3年ぶりのリーグ戦4連勝を飾った仙台戦の試合後、指揮官はこの勝利がもたらす意味を語っていた。「順位を上げることができる状況だったので、選手たちには何があろうと結果を出そうと話していた。疲労困憊の中で結果を出せたのは喜ばしいことだし、やろうとしていることができつつある」。高温多湿が続く中での連戦。限られた時間の中、チーム全員が高い意識を持って、準備を進めたことが結果として現れた。今後の自信につながる大きな勝利だ。

 選手たちもいまのフットボールに確かな手応えを感じている。2点目を決めた上田は、「戦術もハマってきて、自信もついてきた。落ち着いてプレーできているからこそ、勝てている」と語った。。シーズン序盤の苦しみを乗り越えたからこそ、一つの勝利が、自信に繋がり、その自信が、また一つの勝利に繋がる。最高のサイクルに辿り着けた。

 だが、4連勝を飾ったいまこそ、気を引き締める必要がある。どれだけ努力を続けていても、必ずまた苦しい時期は訪れる。困難に直面したときも、信念を貫き、一丸となって戦い続けなくてはいけない。そのためには、いまの好調な時期の振る舞いが、非常に重要になる。

 もちろん、経験豊富な指揮官はそれを熟知している。仙台戦の試合前、選手たちに改めて『継続』の必要性を説いていた。「トップまでいくのは簡単だが、継続するのが一番難しい。選手であれば、ただ試合に出るのは難しくない。いかに継続できるかだ」。長きに渡ってブラジルや欧州のトップクラブでプレーし、結果を残し続けてきたザーゴ監督だから、言葉に説得力がある。

 だから、選手たちに過信や慢心は微塵もない。仙台戦の試合終了から間もなく行われたフラッシュインタビューで、上田は「4連勝という数字に惑わされることはない。大事なのは目の前の1試合。そこに向けて個々人がコンディションを整えつつ、継続してパフォーマンスを出す準備をしていく必要がある」と、冷静に次の戦いを見据えていた。そして、「チャンスをものに出来ていない試合の方が多いし、それが今の僕の出場時間に繋がっている。勝ったけれど、チーム内の競争はまだ続くので、また戦う準備をしていきたい」とライバルとのポジション争いに闘志を燃やしていた。

 目指す頂との距離はまだ遠い。冷静に現状を受け止めた上で、全員でひたむきに努力を続ける。己と仲間を信じ、献身を尽くし、誠実に、互いへの尊重を持って、目の前の1試合を全力で戦い続ける。その先には、必ず歓喜の瞬間が待っている。

 離れていても思いは一つ。アントラーズファミリー全員で戦い、必ず勝利を掴み取ろう。

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