PREVIEW

photo

 日曜日のホーム神戸戦を振り返って、ザーゴ監督は「非常に難しい試合になった」と語った。事前に立てた戦術通り、相手のビルドアップからプレッシャーをかけ、相手陣内で何度かボールを奪ってチャンスをつくったものの、ラストパスやボールコントロールで精彩を欠き、勝ち切ることができなかった。試合展開を考えれば、勝ちに等しいような勝ち点1だが、あくまで結果は引き分け。勝利以外で満足することはできない。同点弾を決めた荒木も「次は勝ち点3を取れる働きをしたい」と、冷静に次節の横浜FC戦を見据えていた。

 結果には満足できないが、やはり若手選手が高いパフォーマンスを維持していることを喜ばずにはいられない。指揮官は若手選手の起用について、「今のチームには6、7人の若手選手がいるが、彼らは自分の実力を高めてチャンスを手にしている。他に選手がいないから試合に使っているのではなく、彼らが日々の練習から示している意識の高さや公式戦で示しているパフォーマンスを評価して起用している」と語った。決して年齢を理由に出場機会を与えられたわけではない。自ら掴んだチャンスで結果を残したことに意味がある。

 指揮官はつづけて、彼らの可能性についてこう語った。「いきなり1年目に自然体で能力を表すのは難しいものだが、期待を上回る成長、吸収する意欲をみせてくれている。スポンジのように吸収することで、その力を自然に示せているのではないかと思う。アントラーズだけでなく、日本サッカー界のためにも、若い有望な選手を育てることは重要。彼らは年代別代表で活躍できる。そして、ゆくゆくは 日本を代表する選手としてピッチに立てる能力があると思っている」。新たなレベルのフットボールに触れ、刺激を受けて、飛躍を遂げる。アントラーズの未来を背負う選手たちの活躍には、自然と胸の高鳴りを覚える。

 だが、忘れてはいけないのが、若手選手を支えている中堅、ベテラン選手の存在だ。チームの中心的存在の一人であるレオは、「彼らはものすごい質の高さと可能性を持っている。スタッフはもちろん、経験のある選手にとっては、彼らがそれぞれの特長を発揮できるようなサポートをしながら、自信をもってプレーできる環境づくりが重要」と、日頃からのサポート体制について語る。この試合でリーグ戦デビューを果たした山田も、サポートを受ける立場として「自分が試合に出ることになっても、先輩たちは嫌な顔をせずにサポートしてくれた」と、同じGKの先輩への感謝を話していた。試合後のピッチをスンテとともに一周する姿は、まさにいまのチームを象徴するかのような場面だ。ピッチに立つ11人だけではない。選手全員が目前の90分で勝利するために戦っている。目には見えないチームの一体感こそ、アントラーズの強みだ。

 アウェイ横浜FC戦。離れていてもアントラーズとともに戦ってくれるファミリーがいる。選手、監督、コーチ、スタッフ、サポーター、全員の気持ちを一つに、必ず勝利を掴もう。

photo

pagetop