PICK UP PLAYER

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「今年は新加入選手が多く、競争がさらに激しくなる。これまでやってきたことに自信を持って、プレーに反映させていくつもり。そして、自分がチームの中心となること。この部分を突き詰めてやっていかなければいけないと思っている」

 昨シーズン、犬飼智也は怪我での離脱期間がありながら、自身最多となる公式戦46試合に出場し、アントラーズの最終ラインを支えた。シーズン無冠に終わったことを本当に悔しがっていたが、本人としても「『CBとしての立ち振る舞い』は、シーズンを通してレベルアップ出来た部分」と、自らの成長を感じる1年となったようだ。

 犬飼はたびたび『CBとしての立ち振る舞い』について語る。アントラーズに加入する前までは、「自分のプレーをしっかりやっていればいいんじゃないかと思っていた」というが、プレーを続ける中で、「CBがどっしり構えていればチーム全体が落ち着く。味方がミスしたときこそカバーすべきだし、『僕がいるから大丈夫』と周りに安心感を与えられるようにしたい」と、DFリーダーとしての自覚が芽生えた。

「どっしりと構えられるようになり、相手選手を最後まで見ながら、余裕をもってプレーできるようになった。試合に出場し続けることで経験を積み、自分から慌てて動くのではなく、状況判断をしながら確実に守れるようになってきた」

 昔と今のプレーを比較すれば、違いは一目瞭然だ。ピッチで堂々と仲間に指示を飛ばし、時には激しく鼓舞する。勝ち得た自信は大きな成長をもたらした。アントラーズの中心選手としての自覚と責任を強く抱いて2020シーズンに臨んだ。

 しかし、数々の逆境を乗り越えてきた男に、今季さらなる試練が待ち受けていた。開幕からここまでチームは公式戦1勝7敗と非常に苦しんでいる。決定力不足に喘ぐ攻撃陣と同様、守備陣も公式戦全試合で失点を喫するなど、不甲斐ない結果が続いている。チームの中心選手としての自覚を強く抱く犬飼も、結果の責任を強く感じていることだろう。

 だが、これまで背番号39は、逆境に立たされたときこそ真価を発揮してきた。思い返せば、昨季のシーズン序盤も失点への関与が続き、周囲からの風当たりが強かった。それでも、逆風から逃げることなく、目の前の試合を胸を張って戦い抜き、飛躍を遂げた。内容に結果が伴わない今の状況、何かが変わるきっかけが欲しい。犬飼にはそれを期待してしまう。

 いまこそ、最終ラインで声を張り上げる選手が必要だ。チーム全体に喝を入れ、秘めた闘志を前面に出して戦う選手が必要だ。アントラーズのDFリーダーとして強い責任感を抱く漢ならば、必ず期待に応えてくれるだろう。アントラーズとともに戦い、喜び、悔しさを味わい、困難を乗り越えてくれるファミリーのために。犬飼智也が熱く激しく、戦う。

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