PREVIEW

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 明治安田生命J1リーグ再開初戦となった第2節・川崎フロンターレ戦。1-2で敗戦を喫したが、後半の内容は決して悪くなかった。試合後にザーゴ監督も「我々が試合をコントロールした」と話し、内田も「チームとしても、個人としても、もっとできるはず。押し込める時間帯もあったし、悪い部分ばかりではなかった」と手応えを語った。不本意な結果ではあるが、中断期間中の成長を感じられるパフォーマンスだった。

 敗戦から一夜明け、気持ちを切り替えた選手たちは、休む間もなく中3日の札幌戦に向けてトレーニングを始めた。進むべき方向に疑いはない。指揮官と目指す新たなフットボールスタイルを信じている。あとは勝利で自信をつけるのみだ。遠藤も試合に向けて、「何がなんでも勝ちたい。まずは、監督から求められていることをしっかりやれば勝てるという自信をチーム全体で持つことが大事」と語った。

 そして迎えた、今季の明治安田J1ホーム開幕戦。アントラーズはカシマスタジアムで北海道コンサドーレ札幌と対戦した。試合開始早々の7分、ハイラインの裏を突かれ、先制点を許してしまう。それでも、アントラーズは失点後もミスを恐れず、後方からパスを繋ぎ、新たなフットボールスタイルへの挑戦を続けた。すると、試合の流れは徐々にアントラーズに傾いた。

 後半に入っても、アントラーズがボールを支配し、能動的にゲームを動かす姿勢をみせる。高い位置からボールを奪いに行き、マイボールになれば後方から丁寧に繋いだ。得点には至らなかったが、チームの目指すコンセプトがピッチで表現できるようになり、決定機を何度もつくった。しかし、一瞬の隙を突かれてしまう。試合終了間際に自陣でボールを奪われると、ショートカウンターから痛恨の2失点目を決められ、試合は決着した。0-2で敗戦。再開初戦に続き、今季公式戦初勝利は次へと持ち越しとなった。

 試合後、指揮官は「連敗は好ましくない」と唇を噛みしめた。立ち上がりの失点、そしてチャンスでの決定力不足。改善すべき点は残されている。だが、「チャンスを多く作ることができたし、得点にはつながらなかったが、随所にやってきたことを表現できた」と、多くの収穫を得たこともまた事実である。「これからも今取り組んでいることをぶれずにやり続けていきたい」。指揮官は揺るぎない自信を言葉に込めた。

 今季公式戦未勝利と苦しい期間は続くが、自分と仲間を信じて、戦い続けるしかない。急速に変化する時流に適応し、新たな黄金期を築くためには、どんな困難が待ち受けようと、新たな挑戦を続けなくてはいけない。

「僕がアントラーズに来てから勝つことができていない。この状況を早く変えないといけない。ファン・サポーターの皆さんの応援を力に変えて、勝利に向けて戦っていきたい」(永戸勝也)

 アントラーズとともに戦い、喜び、悔しさを味わい、困難を乗り越えてくれるファミリーのために、勝利を届けたい。選手たちも心の底から勝利に飢えている。「すべては勝利のために」。フットボールのスタイルは変化しても、アントラーズに宿る不変の魂だ。

 これまで幾多もの困難を乗り越えてきた。苦境に立たされた都度、挑戦を諦めていたら、胸に燦然と輝く大きな双星はあるだろうか。勝利のために挑戦を続けよう。勝利のために信念を貫こう。舞台は埼玉スタジアム2002。幾多もの熱戦を繰り広げてきたこの地から、逆襲の狼煙を上げよう。

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