PREVIEW

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 フットボールが帰って来た。7月最初の週末、鹿島アントラーズは約4ヵ月ぶりとなる公式戦を川崎フロンターレと戦った。

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、リモートマッチ、いわゆる無観客試合で再開された2020明治安田生命J1リーグ。普段は川崎Fのサックスブルー、そして我らがアントラーズサポーターのレッドで彩られる等々力陸上競技場には両チームの選手たちやスタッフ、そしてDAZNクルーや報道関係者ら限られた数の人影しか見えない。試合前のバス入り、ウォーミングアップも慣れ親しんだスタジアムの風景とは違ったものだった。

 しかし、そこにいなくても選手たちにはともに戦うサポーターの声が届いていた。試合前からSNS上で見られる応援の声は4ヵ月前より明らかに多かった。誰もが、フットボールが帰って来ることに喜びを感じ、そしてアントラーズの勝利だけを考えてキックオフの時を待った。

 19時3分、等々力に試合開始の笛が鳴った。その直後、わずか2分にアントラーズは痛恨の失点を喫する。相手のショートCKから谷口に決められたが、DAZNで何度も繰り返されたリプレーでは谷口がオフサイドポジションにいたことが確認された。しかしオフサイドは取られず、川崎Fの先制点は認められる。この不運もあり、アントラーズはいきなりのビハインドから再開初戦を戦うこととなった。

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 その後、30分には長谷川に決められ、0-2。早く同点に追いつきたいところだったが、逆に追加点を奪われる苦しい展開となった。だが32分、エヴェラウドの強烈なミドルシュートから得たCKで逆襲へのきっかけをつかむ。左CK、キッカーのアラーノが相手ゴールへ向かう鋭いボールを入れると、ニアを守っていたレアンドロ ダミアンの頭をかすめ、オウンゴール。1-2としたアントラーズは後半に入ると、多くのチャンスを作りだした。ベンチのザーゴ監督も「交代は5人まで」という再開後の特別ルールを活用し、フレッシュな選手たちを次々にピッチへと送り出す。特に67分にアラーノとの交代でピッチに立った遠藤はその高いボール保持能力とフットボールIQで攻撃のコンダクトを執った。

 また72分からピッチに立った染野も積極的に攻撃を仕掛けた。これが公式戦初出場となるルーキーは85分にクロスバー直撃のシュートを放てば、その2分後には先制点を奪われた谷口にペナルティーエリア内で倒され、PKかという場面も演出するなど、最後まで川崎Fゴールへ迫った。

 約4ヵ月ぶりの90分を戦い、結果は1-2。開幕戦に続き、悔しい敗戦となった。しかし下を向く時間はない。中断期間をキャッチアップするための過密日程にともない、このミッドウィークに我々は聖地カシマスタジアムに札幌を迎え、第3節を戦う。「悪い部分ばかりではなかった」と内田も気丈に話す。戦いはまだ始まったばかり。またもや無観客試合となるが、この札幌戦が今季のホーム開幕戦だ。カシマには来れずとも、我々は熱い魂を持った12番目の選手が全国にいる。そこにいなくても、伝わってくる声と闘志。ピッチに立つ選手たち、そして選手たちをサポートするスタッフは側にその存在をしっかりと感じることだろう。

 何度でも心に刻み、そして立ち上がろう。すべては勝利のために。アントラーズの逆襲は聖地カシマから始まる。

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