「満男さんですね」
今シーズンよりチームキャプテンに就任した三竿健斗に「ボランチにおけるスペシャリストとは?」という質問をぶつけると、間髪入れずに小笠原満男の名前を挙げた。
「一発で逆サイドに展開できて、試合を決めるパスも出せる。試合の流れも読めれば、守備もできるし、FKも蹴られる。まさにスペシャリストじゃないですか」
ザーゴ監督が掲げる「ボールを保持し、試合を支配するサッカー」においてはボランチは全ての中心となる。判断力、展開力、そして試合を読む力。その全てが三竿には求められる。しかし、三竿は「今は基礎を自分たちにたたき込み、練習でやってきたことを出せる回数を増やしていくこと。周りが何と言おうとブレずにやり続けたい」と気負いはない。
約4ヵ月という中断期間を経てJリーグは再開するが、1ヵ月半前にグループトレーニングが再開され、対人プレーが始まった頃、三竿は自身のツイッターで「感じているのは、守備の質の低下(ストップ動画・リアクション力)、心肺能力の低下(素走りの体力ではなく高い強度でプレーし続ける体力)、イメージトレーニングの有効性(映像でイメージすることでスムーズに攻撃できる)」と分析した。その後、練習やトレーニングマッチを積み重ね、「当初感じていたものはなくなり、プレーする体力や勘も戻ってきた」と言う。ボールを奪い、周りを動かすことに長けた中盤の支配者は23歳という年齢を感じさせない落ち着きを感じさせる。
「先が見えない中で、自分で体を動かしたりしていた。その時は不安があったが、再開の日程が決まったことで安心したし、もう一度、フットボールができることに幸せを感じました」
再開を前に三竿をそう語る。もう一度、ピッチで自分らしさを表現する喜びを。若きキャプテンに導かれ、アントラーズはただ勝利のために戦う。