PREVIEW

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「優勝は簡単にできるものではない。シーズン途中で首位に立てているだけ」

 1-1のドロー決着に終わった松本戦の後、土居聖真は珍しく感情を露わにした。最善の準備を尽くし、最後の最後まで勝利のみを目指して戦った。でも、結果がついてこなかった。不甲斐なさと悔しい思いがこみ上げた。

「今日は何とか勝ち点を拾った形になった。そういうのもプラスに捉えていかないと、同じことの繰り返しになってしまう。最低限の勝ち点1だったと思う。追いかけていた時間帯を考えれば、この勝ち点1をプラスに捉えることができる」

 現状を憂うだけなら、簡単なことだ。現在、アントラーズには負傷を抱えている選手がいる。コンディションが万全ではない選手もいる。そして、AFCチャンピオンズリーグ、YBCルヴァンカップと二つも重要なタイトルを失った。心身ともにチームは傷を負った。これは否定しようがない、紛れもない事実である。

 だが、我々は苦しいときこそ、真価が問われると知っているはずだ。過酷なシーズンを戦えば、どんなチームでも好不調の波は必ず訪れる。リーグの順位を決定づけるのは、いかに苦しい時期をチーム一丸となって乗り越えるか、そして、いかに不振を脱するきっかけをつくれるかにかかっている。いまこそ、全ての力を結集して這い上がらなくてはいけない。

 土居が続けた言葉には強い覚悟が込められていた。勝負の世界では結果がすべて、ピッチ上のパフォーマンスですべてが判断される。だが、その過程で最善の準備を尽くしていたことは変わらない。だから、胸を張って戦い続ける。現実を受け止める必要があっても、悲観的になる必要などない。

 次から次へと試合が待ち受けるなかで、目の前の試合を全力で戦うためには、試合が終わってからすぐに次戦への準備を進めて行く必要がある。苦境に立たされたときこそ、チームが一丸となって戦うことが求められる。

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 天皇杯準々決勝で対戦するHonda FCは、チャレンジャー精神を全面に出して果敢に戦ってくるはずだ。まさに真価が問われる一戦になる。ここから這い上がらなければいけないシーズンの分岐点となる試合だ。

 いまこそアントラーズファミリーの力が必要だ。絶大な力を与えられる聖地、カシマスタジアムでチームに声援を送ろう。必ず選手は応えてくれるはずだ。苦境に立たされたいまこそ、ともに戦い、シーズン終了後の歓喜の瞬間に向けて、突き進もう。