激闘を終えた選手たちは沈痛な面持ちで訥々と言葉を紡いだ。「今シーズン、始まったときからの目標だったので、悔しいです」。「負けてないから、なおさら悔しいというか」。「素直に悔しいです。悔しいです」。「本当に悔しいですし、残念としか言えないです」。
簡単な試合は1戦たりともなかった。激闘を繰り広げ、苦しいときも常に一体となってここまで乗り越えてきた。だが、あと1点、わずか1点が足りなかった。そして、アジア2連覇、全冠達成の夢は潰えた。
指揮官は試合後に悔しさを滲ませながらこう語った。
「敗退してしまったことに非常に責任を感じています。痛みを感じます。サポーターの皆さんを悲しませてしまったので、この敗戦は痛みを伴います。選手たちがみせた後半の姿勢は評価出来るプレー内容でしたし、自分たちが広州恒大の強さを覆す寸前までいきました」
「当然、私は悔しさを感じています。ですが、選手、サポーターの皆さんも、悔しい思いを味わっています。その思いを一身に背負うことが監督の役割、立場だと認識しています。このような悔しさを、経験の積み重ねを、今後の監督人生に繋げていきたいですし、この経験を活かして、また選手とサポーターの皆さんと、ともに戦える状況をつくりだしたいなと思います。非常にパワーがいることですけれど、この悔しさをパワーにしていきたいです」
この悔しさを糧に、強くなるのか、悔しいだけで終わらせるのか。運命を変えられるのは我々だけだ。指揮官は選手たちに伝えた。「しっかりと、このゲームを自分たちの糧にしないといけない。次に向かおう」。これからも戦いは続く。前に進むしかない。
犬飼智也は決意を新たにしていた。「また次は天皇杯があります。しっかりと切り替えて、悔しさをぶつけるしかないと思います。下を向いている時間はないです。まだ3冠あるので、目指してやりたい」。町田浩樹も悔しさを胸に刻んで前を向く。「(失点は)自分の責任ですね。何を言っても次のラウンドに進めないので、後の祭りですし、一つのタイトルを失った重みを感じています。ただ、幸運にもあと3つのタイトルを獲れるチャンスがあるので、すぐには切り替えられないですけど、また次の試合に向けて、準備を進めていきます」。
1つのタイトルを失った痛みが我々をまた強くする。苦しいときほど胸を張り、目の前の試合に全力を尽くそう。もう目標は切り替わった。この悔しさを糧に国内3冠を成し遂げよう。
我々はここから国内3冠達成に向けたリスタートを切る。天皇杯ラウンド16、横浜FMに必ず勝利しよう。厳しい戦いが続くが、アントラーズを愛する者すべてが力を合わせれば、シーズン終了後には必ず栄光に到達できるはずだ。歓喜の瞬間が訪れることを信じて、勝利のために今夜もともに戦おう。