鹿のエンブレムを纏って3年目、金森健志は決意を新たに熾烈な前線のポジション争いに挑んだ。
だが、今季ここまでは思うように出場機会を得られていない。金森が先発出場したのは、ACLグループステージのわずか3試合のみ。公式戦7試合で途中出場したものの、そのほとんどが試合終了間際の投入だった。そして、実に11試合もベンチを温めたまま、ピッチに立つことなく試合終了のホイッスルを聞いた。否が応でも、試合に出れないもどかしさが募っていく。
「あんまり試合に出ていないんで、チームどうこう言える立場じゃないです。個人的には試合に絡んでいきたいですし、順位的には悪くない位置にいるので、後半戦で巻き返したいです」
金森は悔しさを滲ませながら、シーズン前半戦を振り返った。ACLグループステージ第3節慶南戦では、アウェイで値千金の決勝ゴールを決めたが、今季のゴールはこの1得点のみだ。本人も「FWというポジションである以上、得点は狙いたいし、取らなければいけない」と語ったとおり、土居聖真、セルジーニョ 、伊藤翔ら強力な攻撃陣に割って入るためには、ゴールという結果で己の価値を示さねばならない。
「常に試合に出たいという気持ちでやっていますし、そこはブレずにやっています」
ただ、試合に出場できない期間も決して腐らず、全力でトレーニングに励んでいた自負がある。周囲もその姿勢を認め、努力が結実することを望んでいる。これからもやることは変わらない。これまで通り全力でトレーニングに取り組み、アピールを続ける。いざ、出場機会が巡ってきたとき、そのチャンスを逃さないように。
天皇杯2回戦、北陸大学との一戦は、金森にとって自らの存在をアピールする絶好の機会となりそうだ。明治安田J1第17節広島戦から中2日、そして、今週末には明治安田J1第18節磐田戦を控えている状況で、チームは大幅なメンバー変更を求められている。当然、日頃から全力でトレーニングに取り組んでいる背番号14にもチャンスが与えられるだろう。
「普段、試合に絡めていないメンバーは、この試合が悔しさを晴らす機会になる。チャンスをもらった選手が、普段の怒りを、悔しい想いを、どれだけ試合にぶつけられるか」。金森は気合いを漲らせた。この一戦で絶対に活躍するという強い意気込みが言葉の節々から感じられた。
我々は信じている。シーズン後半戦、背番号14がゴールを量産することを。まずは今夜、飛躍のきっかけを掴もう。ゴールという結果で、次のステージへ。7月3日。カシマスタジアムで金森健志が、その光を放つ。