PREVIEW

photo

 日曜日、明治安田J1第17節。広島3連戦の決着をつけるべく、決意を固めて臨んだ一戦だった。前半を1-1で折り返したアントラーズは、後半74分に小池のシュートが町田に当たってゴールが決まり、勝ち越しに成功。このままリードを保ち、試合は終盤へ差し掛かる。歓喜の瞬間まで残り1分。だが、待ち受けていたのは、残酷な結末だった。後半アディショナルタイム4分に痛恨の同点弾を献上。掴みかけていたはずの勝ち点3は手元から滑り落ちた。

 試合終了を告げるホイッスルが鳴ると、スタジアムはため息の混じった異様な静寂に包まれた。選手たちがゴール裏へ挨拶に向かうと、サポーターからブーイングが送られた。不甲斐ない戦いをみせてしまったチームへ叱咤激励の声が飛ぶ。だが、最後は、力強いチームコールで次なる戦いへ送り出してくれた。この意味を深く胸に刻まなければいけない。

photo

「本当に勝たなければいけない試合だったし、負けに等しい引き分けだと思う。2失点目まで持っていかれる過程でも問題があるし、そのあとの対応にも問題があった。二度とこのようなことがないようにしていきたい」

 久々にセンターバックで先発出場した町田は、悔しさを滲ませながら、訥々と言葉を紡いだ。ここから中2日で試合が続く。落ち込む時間は残されていない。過密日程のなかで、アントラーズファミリーの総力を結集させ、全冠達成に向けて戦わなくてはいけない。結果をしっかりと受け止めて前へ進む。他に道はない。

photo

 まずは、天皇杯2回戦。相手は北信越大学サッカーリーグに所属する北陸大学だ。広島戦から中2日という厳しい日程、そして、今週末には明治安田J1第18節・磐田戦が、また中2日で控えている。疲労の影響を受けることは避けられず、全試合同じメンバーを起用することは不可能だ。チームの底力が試される一戦になるだろう。

 これまでのリーグ戦、ACLで出場機会が限られていた選手たちにとって、この一戦は自らの存在をアピールする絶好のチャンスだ。出場する選手たちのモチベーションは高い。そして、怪我からの復帰組もそろそろ戦列に戻ってくるころだ。後半戦に向けて、彼らの力も必要となってくるだろう。

 中2日の過密日程、不運な負傷者の続出、一発勝負の難しさーー。多くの懸念事項はあるが、どれも言い訳にはできない。全冠達成に向けて、勝利する必要がある。そして、勝利したうえで、今後に繋がる好材料を見つけていかなくてはいけない。ここから再び連勝街道を突き進むため。ホームで勝利のみを目指して戦う。

pagetop