「ACLでは、Jリーグとは絶対的に違う大会であるということを認識しなければいけません。環境や対戦相手、主審の笛も違いますから、それを認識して戦っていかないと」
アントラーズ不動の守護神、クォン スンテはこれまで歴代最多となる3度のACL制覇を成し遂げた。その道程がどれほど険しいものか、そして、その先に待ち受ける歓喜がいかに素晴らしいものか。誰よりも理解している。
「自分は助っ人としてチームの勝利に貢献するために来ていますし、タイトルを獲るためにプレーしています」
異国の地で、己の身体たった一つ、運命を左右するゴールを守るプレッシャーは計り知れない。責任感と孤独で押し潰さそうになりながらも、淡々と準備を整え、試合で最高のパフォーマンスを発揮してきた。そして、自らのプレーのみならず、仲間にも多大な影響を与えてきた。
「チームが若くなって、若い選手たちがいいパフォーマンスが出せるように、ベテランとして練習や私生活の中から声をかけてサポートしていきたい」
来日3年目、いまやチームリーダーの一人として絶大な信頼を得ている。ピッチ内では燃え滾る情熱で厳しくチームメイトを鼓舞し、ピッチを離れれば温和で優しく、周囲への気遣いを決して忘れない。その人柄は、関わるすべての人から愛されている。
「アントラーズファミリーという言葉が大好きなんです。日本のクラブを代表して、何としてもタイトルを獲りたいです」
穏やかな笑顔で語るスンテは、心からアントラーズを愛しているようだった。敗北を喫した試合後は、必ずと言っていいほど真っ先にサポーターへ謝罪の弁を述べている。愛するクラブで、必ずや再びあの栄光を味わう。その覚悟と決意が、常日頃から溢れ出ている。
ACLグループステージ第4節、慶南FC戦。勝てばグループステージ突破が決定する大一番だ。再びあの栄光を掴み取るため。スンテは今日もアントラーズファミリーの想いを背負い、ゴールマウスを守る。