「今日は修正力で勝てた試合だったと思う」
ゲームキャプテンの重責を担った三竿健斗は、試合を振り返りながら話した。
「前半は相手がすごく圧力をかけてきて、そこに対して僕たちは負けていた。いつもは興梠選手だけが裏を狙ってくるが、今日はシャドー含めて3人が斜めに背後をとってきて、そこに引っ張られて大外を使われるという形だった。普段とは違う感じを受けた」
第1戦から第2戦まで、中3日とわずかな準備期間しか残されていなかったが、浦和は短期間で戦い方を変えて試合に臨んできた。
浦和のアグレッシブな戦法は、指揮官にとっても「少し予想外だった」という。「浦和の2シャドーの選手が、とてもアグレッシブに背後へ抜けるという動きを120%でやってきた。そこで、我々のポジションにギャップが生まれてしまった」。アントラーズは28分に先制点を奪われ、その後も反撃の糸口をなかなか見つけられないまま、0-1とリードを許して前半を終えた。
ロッカールームに戻った選手たちは対話を重ねた。勝利のために、互いの意見をぶつけ合い、高い精度のプレーを求める。ベンチで戦況を見つめていた経験豊富な選手たちも間に入ってアドバイスを送った。そして、指揮官を中心に前半の浦和のプレーを整理する。チームが力を合わせて、ハーフタイムの限られた時間で修正を行った。
後半に入ると、守備の対応を擦り合わせたことで、浦和の攻撃を冷静に跳ね返せるようになり、66分にはセットプレーから犬飼が同点弾を決める。その後、一瞬の隙を突かれて勝ち越し点を決められたものの、終了間際に伊藤がカウンターからゴールを決めて、第2戦を2-2の引き分けに持ち込んだ。
「苦しい試合となったが、選手たちが後半に修正をしてくれた」
試合後、指揮官は激闘を戦い抜いた選手たちを称えた。そして、「サポーターの皆さんが、これだけの雰囲気を作ってくれて、非常にいいスタジアムの雰囲気だった。一緒に戦って、次に進めたことが非常に嬉しい」と、台風15号の影響が心配されるなか、カシマスタジアムでともに戦ってくれたアントラーズファミリーへの感謝の言葉を口にした。
サポーターがこの試合に与えた影響は大きい。相手の高い強度の攻撃を受けて守勢に回った前半、選手たちが自信を失わず、前向きにプレーを続けられたのは、紛れもなくホームの大声援があったからだ。そして、後半の巻き返しは、サポーターの力強い後押しがあってこそ生まれた。2年連続のYBCルヴァンカップ準決勝進出は、まさにスタジアムに集結した全員で掴み取った戦果だった。
責任をもって戦っているのは、ピッチに立つ選手だけではない。ピッチ脇から大声で仲間を鼓舞するベンチに入った選手、試合に出場していなくてもトレーニングで勝利に貢献している選手、チームを牽引する指揮官、支えるコーチ、スタッフ、サポーター、すべてのアントラーズファミリーが勝利のために、一体となって厳しい連戦を堂々と戦い抜いている。
次は、リーグ首位に立つFC東京との天王山だ。この試合の意味を誰もが理解しているだろう。シーズン前半戦、アウェイで戦った明治安田J1第7節では、1-3と忘れがたい屈辱を味わった。FC東京はアントラーズとの対決で勝利したことで自信をつけ、その後もハイペースで勝ち点を積み重ねていった。彼らを勢い付けてしまった責任は我々にある。我々で終わらせるしかない。
「今年こそ絶対にリーグタイトルを奪還する」
アントラーズファミリー全員が、同じ目標を掲げて、ここまでともに走り続けてきた。この6ポイントゲーム、我々の結束を、そして、強い意志を証明する試合にしなければならない。リーグタイトル奪還にかける魂を、カシマスタジアムに集う全員が、これから始まる90分にぶつけよう。
春の苦しみを乗り越え、夏の過酷な連戦も、総力戦で乗り切った。1試合、1試合、全力で戦い抜くことで、成長し、強くなった。いまの我々ならば、どんな難局さえも乗り越えられる。いよいよ、意地と誇りをかけた戦いが始まる。勝利への決意を固めて、今夜もともに戦おう。