「憧れのスタジアムであれだけ熱いサポーターの前でプレーできて、特別な気持ちになりました。シュートを打って、ゴールが決まった後、サポーターを見たら、みんなが前のめりになる姿が見えて...グッときました。これからも勝つために、優勝のために、点を取り続けたい」
8月10日、明治安田J1第22節・横浜FM戦。1-1の同点で迎えた87分、ピッチ中央から送られた斜めのクロスを土居聖真が真横に落とすと、並走した上田綺世がダイレクトで右足を振り抜いた。2-1。アントラーズに新たなヒーローが誕生した瞬間だった。
勝利の立役者となった上田について、指揮官は、「彼の得点は、私以上にサポーターのみなさんが喜んでいると思います。これを続けていくのが彼の評価につながる。今日の試合はよくやってくれましたけれど、次の試合、また、その次の試合も、アントラーズの一員として、しっかりと表現し続けてほしい」と、大きな期待を込めて話した。
横浜FM戦から中3日。天皇杯3回戦・栃木SC戦は、先発メンバー10人を入れ替えて臨んだ。出場機会に飢えている若手選手も、負傷離脱から復帰したベテラン選手も、全員が勝利のためだけに戦った。
スコアは4-0。小田逸稀が1ゴール1アシスト、有馬幸太郎がプロ入り初ゴールを記録するなど、選手たちは期待を上回る活躍をみせた。指揮官も「天皇杯という非常に難しいゲームを勝ち切ることが出来た。選手たちもしっかり戦ってくれた。そして、栃木まで駆けつけてくれた多くのサポーターの皆さんの声援が非常に力になった。これらすべてを含めて、チームとしてともに戦った結果が勝利につながって、非常に嬉しく思う」と、チーム一丸となって掴んだ勝利だと語った。
さらに、連戦は続く。天皇杯から中2日と過密日程のなかで迎えた、明治安田J1第23節・アウェイ大分戦。この試合でも新たなヒーローが誕生した。
スコアレスで迎えた71分、小池裕太からのサイドチェンジのパスを受けた相馬勇紀が、ドリブルで中央へカットインし、ペナルティエリア手前から左足を振り抜く。相馬の左足から放たれたシュートは、鋭い軌道でゴール左隅に突き刺さった。1-0。新戦力が再びアントラーズに勝ち点3をもたらした。
新戦力の躍動、怪我人の復帰、主力選手の好調。チームの勢いは増している。このまま連勝街道を突き進み、ともにリーグタイトル奪還を達成しよう。
さあ、聖地での戦いだ。幾多もの激闘を繰り広げてきた青黒の難敵と対峙し、力強く勝利を掴み取る90分。栄光の景色に到達するために、我々がもてる全ての力を結集させよう。アントラーズレッドに染まるカシマスタジアムで、ともに歓喜の瞬間を分かち合おう。