PREVIEW

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 約2週間の中断期間を終え、いよいよ国内タイトル奪還、アジア制覇に向けた戦いが再び始まる。

 2019年、アントラーズは変革期を迎えた。昨シーズン限りで偉大なるキャプテン小笠原満男が現役を退き、守備の要である昌子源が海外移籍。チームを牽引してきたリーダーたちが去り、新たな黄金期を築くための土台づくりが始まった。

 何事も変化には痛みが伴う。多分に漏れず、アントラーズもシーズン開幕の2月から3月にかけて行われた公式戦8試合で、無失点に抑えた試合はわずか1試合と苦しんだ。8試合で7ゴールを量産した伊藤翔の活躍により、なんとか勝ち点を拾えていたが、攻守のバランスを見つけることに苦労し、不安定な戦いが続いた。

 4月に入ると過密日程による疲労の影響もあり、さらにパフォーマンスが低下してしまう。明治安田J1第7節でFC東京に1-3と屈辱的な敗戦を喫すると、ACL慶南FC戦、明治安田J1第9節横浜FM戦でも敗戦し、公式戦4試合で1勝3敗と暗闇をさまよった。

 勝利と敗戦を繰り返し、浮上のきっかけが掴めない日々が続く。そんな苦しみの最中にいたチームを救ったのは、紛れもなくアントラーズが誇る最高のサポーターだった。

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 5月3日、明治安田J1第10節ホーム清水戦。カシマスタジアムには今季最高となる3万1,182人が詰めかけた。試合開始前から盛大なチームコールが選手たちに送られ、スタジアムは最高の雰囲気に包まれた。割れんばかりの大歓声。鹿のエンブレムを纏った選手たちが、奮い立たない理由がなかった。サポーターの声に後押しされるように、前線から積極的にプレスをかけ、試合の主導権を握ると、前半早々に土居が先制点を奪取。後半に2ゴールを追加したアントラーズは、常勝鹿島の貫録を見せつける安定した戦いぶりで、3-0と快勝を収めてみせた。

 まさに会心の勝利だった。この戦いで自信を掴んだチームは、徐々に調子を上げていく。つづく、ACLジョホール戦では、過酷なマレーシアの環境に苦しみ、勝利を奪うことが出来なかったが、明治安田J1第11節神戸戦ではアウェイでしっかりと勝ち点3を掴む。つづいて、ホームへ帰還した明治安田J1第12節松本戦では、今季最多得点となる5ゴール、リーグ戦3試合連続となる無失点で大勝を収めた。

 勢いそのままに、ACLグループステージ突破をかけた山東戦でも、後半から途中投入された伊藤翔が電光石火の2ゴールを奪って逆転勝利。2年連続となるノックアウトステージへの進出を決めた。

 中断期間前、最後のアウェイ2連戦では1分1敗と結果が伴わなかったが、これまでの連勝で確固たる自信を得たチームは、目指すべき方向性を見失っていない。プレーの精度を高めていけば、必ずどんな相手が来ても勝利を掴める。チーム全員がそう固く信じている。

 ここまでの戦績は、公式戦21試合を戦って11勝4分6敗。リーグ戦の順位は5位、ACLではグループE2位でノックアウトステージへの進出を決めた。変革期の1年目、シーズン前半戦の成績としては、最低限のノルマは達成したといえるだろう。

 だが、ここからは前半戦で得た自信を糧にして、これまで以上のペースで勝利を重ねていなければならない。リーグ戦では首位FC東京と勝ち点を「9」離されてしまった。ここから巻き返し、最終節が終わったときには頂に立っている必要がある。

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 カギを握るのが絶対的な強さを誇るホームゲームだ。今季、アントラーズはカシマスタジアムで行われた公式戦8試合で6勝2敗とアウェイチームを圧倒している。聖地に集い、ともに戦う背番号12の情熱は、選手たちを力強くサポートし、確実に勝敗へ影響を与えている。

 これからもホームで一戦、一戦、しっかりと勝ち点3を積み重ねていければ、必ずや栄光を掴み取ることが出来るはずだ。

 そのためにも、まずは中断期間明けのホームC大阪戦。アントラーズファミリーが一丸となって戦い、勝ち点3を獲得しよう。1試合、1試合、全力で戦い抜いた先には、必ず栄光の未来が待っている。聖地に歓喜の歌声が響き渡る光景だけを思い描き、今夜も勝利だけを目指して全力で戦い抜こう。

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