PREVIEW

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「前半がすべての試合だった」

 指揮官は悔しさを滲ませながら言葉を紡いだ。屈辱としか表現し得ない45分間だった。試合開始からホームチームの勢いに飲み込まれ、瞬く間に3失点。

「ここ数試合ゲームの立ち上がりや後半の立ち上がりに失点をしている試合が多い。意識させるところと意識しすぎてしまうところのバランスが良くなかった。こちらからのアプローチが強すぎたと感じる。これは結果論でしかないが、しっかりと注意して入るということ、相手の勢いにしっかりと自分たちが裏を返し、そのようなポジショニングを取ることが前半は欠けていた。それが失点を招いてしまった」

 リーグ戦中断明けの明治安田J1第5節・磐田戦、第6節・名古屋戦、ACL第3節・慶南戦、そして、FC東京戦と4試合連続でキックオフ早々に失点を喫した。ゲームの立ち上がりに問題があることは明白だが、修正は容易ではない。中3日、中4日と試合が続き、ACL参戦による長距離移動も加わる。さらに、後半追い込まれた状況で怒涛の攻撃を仕掛ける試合展開が続いており、メンタルとフィジカルの両面でチームに過大な負荷をかけている。コンディションを維持しながら、課題修正を図るトレーニングを組むことは、難しい状況だ。

 だが、それでも選択肢は一つ。戦い続けなくてはいけない。鹿のエンブレムを纏う以上、どんな状況でも前を向いて、目の前の敵を倒す義務がある。アントラーズ伝統の「背番号8」を継承した土居聖真は危機感を募らせた。

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「こんな試合をしてはいけない。相手の方が戦っていたし、走っていたし、勝とうという意欲があった。それを受けたところがあった。(次戦は)前半開始からトップギアでやる必要がある」

 試合開始から相手を凌駕する気持ちを見せ、まずは、先制点を奪うこと。そして、不用意な失点を防ぐこと。単純かつ至難なミッションを乗り越えた先には、必ずや歓喜が待っているはずだ。

 さあ、待ちに待った2週間ぶりのホームゲームだ。リーグ戦ホームゲーム通算入場者数800万人を達成した聖地に、歓喜の歌声が響き渡る光景だけを思い描き、アントラーズファミリー全員でともに戦い抜こう。

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