「勝たなければいけない試合だった」
中断期間明けのJリーグ第5節磐田戦の試合後、選手たちはみな一様に悔しさを滲ませながら言葉を紡いだ。国内タイトル奪還のためには、「負けない」ことも大切だが、「勝ち切る」ことが必要だ。1点を争うような試合展開になればミスは許されない。接戦を制せなければ、優勝は遠のく。
ただ、磐田戦は反省点だけではない。後半開始直後に痛恨の失点を喫したものの、失点後は怒涛の反撃。試合を支配し、敵陣でのプレーを続けた。値千金の同点弾を決めたレオ シルバは、チームの成長を感じ取っていた。
「試合は先制したり、追い付いたり逆転したり、いろんな状況があるが、メンタルが試合に影響する部分がある。今日はその部分に対して、我々は平常心を保つことができた。もう少しで逆転するチャンスもあったけど、メンタルの部分で落ち込まなかったというのは、チーム全員で拍手を送りたいし、我々が目標している精神的な安定感を試合の中でお見せできたと思う」
どんな試合展開であっても、勝利を目指し続けるメンタリティ。変革期を迎えたアントラーズにも、ジーコスピリットは確実に引き継がれている。
シーズン開幕から取り組んできた攻撃のバリエーション増加とリスクマネジメントの徹底は、徐々にピッチで表現できるようになっている。失点後の攻撃については、ピッチ上の選手たちが主体的に判断を下していた。指揮官もこの点を高く評価している。
「非常にいいチョイスができていたと思う。リスクマネジメントの部分でも、自分たちが分析した通りの試合の運び方が失点以降はできていた。あとは、守備を固められたところで、もう1つか2つ相手の逆を突くアイディアを擦り合わすことができれば、もう少し点を取れたと思う」
チームは、成長過程。常勝アントラーズの「1-0で勝ち切る強さ」まではまだまだだが、そんな中でも3月は公式戦6試合で3勝3分とまずまずの成績を残した。序盤戦が終わり、勝負はここからだ。指揮官は名古屋戦に向けて力強く語った。
「攻撃の部分、リスクマネジメントの部分、やりたいことはできている。後半もしっかりとしたプランの中で戦っていたが、もっとブラッシュアップするところ、改善するべきところを次の試合に生かしていきたい 」
さあ、3週間ぶりのホームゲームが始まる。アントラーズファミリー全員でともに戦おう。国内タイトル奪還へ。目指すは勝利のみ。鹿嶋の夜を、歓喜の歌声で包もう。