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「伝統あるクラブに来ることができて幸せです。自分の持っている力を出してタイトル奪回へ向けて頑張っていきたいです」

 尽きることのない向上心が安西幸輝を突き動かした。ユース時代から慣れ親しんだ東京ヴェルディを去ることを決断。2018シーズン、安西はアントラーズに新たな挑戦を求めた。

 宮崎キャンプでは、明るいキャラクターで瞬く間にチームに溶け込むと、ピッチ上では持ち前の積極果敢なドリブル突破、無尽蔵のスタミナ、両足から繰り出される正確なクロスで、その能力をアピール。シーズン開幕のACL初戦から公式戦5試合連続で出場するなど、加入後すぐ、アントラーズに欠かせない存在となってみせた。

 3月10日の広島戦で右膝内側側副靭帯を損傷し、約1ヶ月間の離脱を余儀なくされたが、欠場期間中を除いて、ほとんどの試合に出場。左右のサイドバック、サイドハーフをこなせるユーティリティ性を活かして、J1デビューシーズンながら、リーグ戦22試合に先発出場し、フル稼働でチームを支えた。

 充実の1年目を終えた安西だが、今の現状に満足はしていない。移籍2年目となる2019シーズンは、昨季よりもプレーの質を高めることを目指している。

「修正しなければいけないところがたくさん出た試合だった」

 プレシーズンマッチである水戸戦の試合後に安西は反省の弁を述べた。持ち前の攻撃力を活かしすためには守備力の向上も大切だ。幼少期からの憧れの存在であり、同ポジションを争うライバルでもある内田篤人も、「(安西が)サイドバックとしてもう一つ二つ成長するためには、やっぱり守備(が重要)だと思う」と守備面での課題を指摘した。新たなステージに上り詰めるためには、守備のポジショニング精度を高め、緻密に守る意識が必要だ。

 だが、ACLプレーオフのニューカッスル・ジェッツ戦では自慢の攻撃面で新たな発見が生まれた。

「(伊藤が)クロスを要求する場面が多く、試合の立ち上がりからクロスを上げる意識はあった。その意識が、結果的に(山本の)ゴールにつながった」

 新加入の伊藤はオフ・ザ・ボールの動き出しに秀でており、サイドバックにとって絶好のターゲットだ。身体の強さを活かしたポストプレーは、サイドバックの攻め上がる時間を創り出し、フィニッシュの局面では絶妙な動き出しでクロスに入り込み、ゴールネットを揺らす。安西にとっては、自らの能力を高めてくれる選手になるはずだ。

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「コンディションをもっと戻していかないといけない。健康体を目指して頑張ります」

 安西幸輝、23歳。アントラーズに欠かせない絶対的なプレーヤーとして、フル稼働が求められる。尽きることのない上昇志向を胸に、攻守両面でさらなる高次元へ。アントラーズレッドに染められたカシマスタジアムで、飛躍を誓う。