「かわる」ことを恐れては、栄光の景色には到達できない。昨季はクラブ史上初となるAFCチャンピオンズリーグ制覇を成し遂げたが、国内では無冠に終わった。目標はあくまで全冠制覇。クラブとしてさらなる高みを目指すために、伝統を継承しながらも「かわる」ことを恐れず、長く険しい道のりを、突き進まなければいけない。
1月15日。新たな栄光の歴史を刻むために、選手たちは再び走り始めた。22日からは宮崎キャンプを約2週間に渡って敢行。昨年からの積み上げである「良い守備から良い攻撃」を継続的に目指しながら、新たに「ボール保持時の攻撃バリエーションを増やす」ことに取り組んだ。
2月9日には、いばらきサッカーフェスティバルで水戸ホーリーホックと対戦。アグレッシブな戦いを挑んできた水戸に苦戦しながらも、中村のゴールで1-0の辛勝を収めた。この試合で大岩監督は生まれ変わった新たなチームに手ごたえを掴んだ。「少しずつチーム全体のコンディションも上がってきている手応えがある。そして、プレーオフまでにもう1ランク、2ランクギアを上げていきたい」。
そして、迎えた決戦。AFCプレーオフでニューカッスル・ジェッツとグループステージ進出をかけた一発勝負に臨んだ。
前半18分に伊藤が移籍後初ゴールを奪取。一度は同点に追いつかれるも、32分には山本が勝ち越し点を決めた。後半にはセルジーニョが2ゴールを記録。連係面やコンディション面に不安を抱えながらも、4-1で見事な快勝を収めた。
「初戦の難しさ、試合のレギュレーションの難しさがあった中で、選手たちは非常によくプレーしてくれた。上手くいかなかった部分もあったが、連係の部分や守備の部分でそれを上回るプレーをしてくれたことは、非常に評価している」
大岩監督は選手たちのパフォーマンスに高い評価を与えた。伊藤は移籍後初出場で初ゴールを奪取。交代出場の山口は試合終了間際にアシストを記録するなど、新戦力の融合と既存選手の成長による、チーム力の底上げがピッチ上でみてとれた。新たなサイクルの始まりの年として、幸先の良いスタートが切れたといえる。
さあ、準備は整った。いよいよJリーグが開幕する。一つの時代が終焉を迎え、また新たな時代を築き上げる。その第一歩を踏み出すときがきた。2月23日、カシマスタジアム。3年ぶりにJリーグ王者へ返り咲くために、ぜがひでも勝たなければならない一戦だ。
相手を凌駕する、アントラーズレッドの情熱とともに。変化を恐れず突き進もう。再びあの栄光の景色に到達するために。カシマスタジアムで、歓喜の瞬間を分かち合おう。