進化のためには、変化が必要だ。再びあの歓喜を再び味わうために。今年もまた、新たな激闘の日々が始まる。守るべき伝統を継承しながらも、「かわる」ことを恐れず、目標の全冠制覇へ挑む。新シーズンの幕開けだ。AFCチャンピオンズリーグ2019、プレーオフラウンド。ニューカッスル・ジェッツとの決戦で、アントラーズの2019年が始まる。
昨年はアントラーズの悲願を達成した歴史的な年となった。ACLグループステージではグループHに入り、中国FAカップ王者の上海申花、Aリーグ王者のシドニーFC、Kリーグ3位の水原三星ブルーウィングスと対戦。ホームでは2分1敗と苦しんだが、アウェイで2勝1分と着実に勝ち点を伸ばし、グループH2位通過で決勝トーナメントに進出した
決勝トーナメントではラウンド16で中国の上海上港と対戦し、ホームで迎えた1stレグは鈴木優磨のゴールなどで3-1と先勝。アウェイの2ndレグでは1-2と敗れるも、2戦合計スコア4-3で拮抗した試合を物にした。そして中国の天津権健と対戦した準々決勝では1stレグを2-0と快勝すると、アウェイの2ndレグでも3-0で勝利し、地力の差を見せつけて準決勝進出を決めた。 準決勝では韓国の水原三星ブルーウィングス相手に1stレグは3-2で勝利。アウェイで迎えた2ndレグは3-3でドロー。2戦合計スコアで上回り、決勝へと駒を進める。
ついに立った決勝の舞台ではイランのペルセポリスFCを相手にホームで2-0と先勝する。2ndレグは敵地イランで苦戦を強いられるも、チーム一丸で無失点に凌ぎ切り、0-0で試合終了。2戦合計スコア2-0でクラブ史上初となるAFCチャンピオンズリーグ優勝を達成し、悲願のアジア王者に輝いた。
前身であるアジアクラブ選手権とアジア・カップウィナーズカップを含め、通算12度目の挑戦で、ようやく掴んだ「アジア王者」の称号。たった1年で手放すわけにはいかない。日本勢初となるACL連覇を目指して戦う。再び栄光を掴み取るためには、伝統を継承しながらも「かわる」ことが必要だ。小笠原満男が現役生活に別れを告げ、日本代表の昌子源は海外移籍。クラブを支えた主力選手が去った。それでも、これまで通り、驕ることなく、周りの目は気にせず、ひたむきに勝利を目指す。その上で、次世代を担う選手たちがシーズンを通して成長し、チームを新たな高みへと導いていくことが求められる。
1月15日。幾多もの思いを胸に刻み、ACL連覇、国内タイトル奪還に向け、チームは始動した。21日からは約2週間の宮崎キャンプ。昨年からコンセプトとして持ち続けている「良い守備から良い攻撃」を目指しながら、新たに、ボール保持時の攻撃バリエーションを増やすことにも取り組んだ。2月9日にはいばらきサッカーフェスティバルで水戸を1-0と下した試合後、指揮官は「現段階で100%ではないが、キャンプから戻ってきて、少しずつチーム全体のコンディションも上がってきている」と確かな手応えを語った。既存戦力と新戦力がより一層、融合していけば、チームは新たな高みへと進むはずだ。
さあ、いよいよ2019シーズンが開幕する。アントラーズは前年度Jリーグ3位でACL出場権を獲得したため、今季はプレーオフラウンドからの参戦となる。日本勢初のACL2連覇を達成するため、まずは、オーストラリアのニューカッスル・ジェッツに勝利し、出場権を獲得しなければならない。
新たなメンバーで歴史を「かえる」ために、その一歩を踏み出すために、聖地で必ずや勝利を。歓喜の瞬間を分かち合おう。