PREVIEW

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「自分たちは勝ち続けないといけない立場なので、継続していきたい」

 一撃必殺の左足で、聖地を歓喜で包み込んだゲームキャプテン。その眼光は鋭かった。3ポイントを積み重ね続けることだけが、遠藤の胸に宿る決意。「自分たちはもっと上を目指しているので、もっと突き詰めていきたい」。戦いを終えた瞬間から、視線は次なる勝利へと向けられる。高温多湿の諫早も、秋の予感を感じさせた鹿嶋の夜も、そうだった。

 「みんなが試合に出るために一生懸命やっていて、勝って喜ぶことが一番幸せな瞬間」。がむしゃらに、貪欲に。懸ける思いをピッチに解き放ちながら疾走を続ける金森は、勝利の意味をこう語る。4名もの先発変更を施した長崎戦、2-1。2トップを入れ替えて臨んだ横浜FM戦、1-0。決して納得できる内容でなくとも、90分の道のりで課題や反省が抽出されようとも――。チーム一丸でもがきながら、3ポイントを2回重ねた意味は極めて重い。百戦錬磨の曽ケ端もまた、「何よりも、勝ち点3を取れたこと」と頷いていた。

「サポーターも最後まで応援してくれた。試合前のコールも嬉しかった。いい雰囲気があれば、状況は好転していく。この雰囲気で進んでいきたい」

 新たに加わった頼もしきゲームメーカー、セルジーニョは穏やかな笑みとともにトリコロールとの対峙を振り返った。来日から約15日、初めて立った聖地のピッチ。アントラーズレッドの期待を背負い、背番号18は随所に非凡なる才能を輝かせていた。日を追うごとにトレーニングでの存在感は高まり、その躍動がチームに刺激をもたらす。実力者との融合と切磋琢磨が、アントラーズをさらなる高みへと導くことは間違いない。

 つかの間のリフレッシュ、そして心身のコンディション調整を経て、総力戦での準備が進んだ。横浜FM戦から中4日、再び聖地で迎える90分へ。真夏の再来を思わせる暑さと青空が覆うクラブハウスで、トレーニングは熱を帯びていった。水曜日、そして木曜日と連日の紅白戦を敢行。攻守両面の連係を入念に確認した指揮官は「ホームでの戦い、勝利にこだわっていきたい」と必勝を誓っていた。

 7月18日の再開初戦から、早くもリーグは10試合目を数える。全34試合のJ1で、残された戦いは11戦。混迷を極めるリーグテーブルの中央に身を置く己と向き合い、目指す場所との距離から目を背けることなく、そして目前の90分へと向かう。勝負の後半戦、アントラーズファミリー全員で歩みを進めていくのみだ。

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 さあ、今季初の3連勝へと突き進む90分が始まる。幾度となく死闘を繰り広げてきた宿敵を迎え撃ち、この勢いをさらに加速させるために――。鹿のエンブレムを纏う者にとって、磐田との対峙はいつ何時でも特別な意味を持つ。かき立てられて止まない闘志を燦然と燃やし、アントラーズレッドの情熱でサックスブルーを凌駕した先に、歓喜の瞬間が待っている。今夜も、全身全霊で。勝利のために、ともに戦おう。

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