PREVIEW


 「ボールに対する執着心や一人ひとりの反応はすごく良かったと思う。この試合をきっかけに連勝していきたい」と土居が頷けば、実戦復帰を遂げた内田は「気を緩めずにやっていきたい」と前だけを見て語っていた。4月14日、名古屋戦。エースが2得点を挙げ、聖地に歓喜が帰ってきた。公式戦、実に5試合ぶりの勝利――。殊勲の金崎は「自分の得点よりも、チームが勝てたことが大きい」と勝ち点3の意味を強調し、こう続けた。

「選手間で話もしていたし、気持ちの入ったプレーができていたと思う。今日は勝てたけど、試合は続く。次からもしっかりとやらないと。目の前の試合を大事にしていきたい」

 5月20日まで続く、怒涛の連戦。休む間もなく、次なる戦いがやってくる。選手たちは試合翌日、午前練習でリカバリーメニューを消化した。総力戦で目の前の90分に全神経を集中させる日々はこれからも続く。己の状態を確かめ、そしてコンディション調整に腐心する――。その繰り返しだ。

「グループステージを1位で突破することが目標。勝利のために頑張ってプレーしたい」

 鬼神のビッグセーブでチームを支え続ける守護神は、母国の難敵と対峙する90分を見据えて抱負を語っていた。グループステージ最終節、水原三星戦。前日練習を終え、クォン スンテは公式会見で勝利への決意をシンプルな言葉に託したのだった。指揮官もまた「当然、勝利を目指して準備をしてきた」と口を揃えている。


 名古屋戦ではJ1初先発の小田が攻守に奮戦し、90分を走り抜いて勝利という任務を遂行してみせた。J1デビューを果たした山口もまた、アシストという形でプロフットボーラーとしての第一歩を刻んでみせた。出場機会に飢えた若武者たちの輝きが、チームに大いなる刺激をもたらしたことは間違いない。試合を重ねるごとに負傷者が発生する苦境にあって、新たな戦力の台頭は光明であり、希望だ。小田は「若い選手がアントラーズを引っ張っていかないといけない。そう思っています」と、自覚を胸に突き進む決意を語っていた。年齢も、キャリアも関係ない。鹿のエンブレムを纏う誇りとともに、全員で歩みを進めていくだけだ。

 さあ、グループステージを締めくくる90分が始まる。アントラーズはすでにラウンド16進出を決めており、引き分け以上の結果を残せば首位通過が決まる状況にある。だが、どんな時でも目指すものは勝利のみ。水原三星は勝たなければ敗退が決まる可能性もあり、並々ならぬ覚悟でカシマへ乗り込んでくるだろう。だからこそ、勝利への渇望を全身にみなぎらせて相手を凌駕しなければならない。今大会、ホームでの過去2試合はいずれもドローに終わっている。だからこそ、今夜は是が非でも勝利を――。今季初の連勝を遂げることが、アントラーズを上昇気流に乗せていくはずだ。聖地で、ともに戦おう。
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