大宮戦のみどころを読む!

 「タイトルを失ってしまった事の大きさは、他のクラブと比べても意味合いが違うと思っている。このクラブにいれば、一つのタイトルに懸ける気持ちは他のクラブと違うと思っている。そういう気持ちを忘れてはいけない」

 指揮官はそう言って、奮起を誓っていた。1週間前、アントラーズは3度、聖地のゴールネットを揺らした。しかし、任務を遂行することはできなかった。スコアボードに刻まれた、3-2という結果。2試合合計、4-5。カシマで収めた逆転勝利は、ルヴァンカップ敗退を意味するものだった。鹿嶋の夜空に輝く月と、走路を暗幕で閉ざされた選手たち。残酷なコントラストが描き出され、聖地はタイトルを失った悔しさで包まれた。

 あれから、1週間。2017年のアントラーズに残された大会は2つだ。元日決勝まで走り抜けても、あと14試合しかない。ACLとルヴァンカップを失った事実と向き合い、その悔しさを胸に刻み、そして顔を上げて進まなければならない。シーズン終盤へ、チーム全員で再び歩みを始めなければならない。

 大岩監督は言う。「リーグ戦が再開するタイミングで、いろいろな感情があると思う。それを“試合にぶつける”という気持ちで臨めればいい」。土居は口を揃える。「この悔しさを自分のプレーにぶつけなければいけない。今後の練習、そして試合にぶつけないといけない」。思いを、“ぶつける”――。その一歩目が、今夜だ。

 J1は残り10試合。アントラーズは勝ち点52を積み上げ、首位に立っている。カシマで対峙する大宮は現在16位。熾烈を極める残留争いに身を置き、死に物狂いで乗り込んでくることは想像に難くない。曽ケ端は「勝ち点を取るために必死で来ると思う」と語った。そして、百戦錬磨の守護神は「それでも…」と続けた。

「それでも、自分たちが優勝するためには、勝たなければいけない試合」

 秋の訪れは、サバイバルの始まりを告げる合図でもある。誰もが浮上を目指し、勝利のために死力を尽くす濃密な時間――。勝負のシーズン終盤、全ての試合が決勝戦だ。

「選手には特長やストロングポイントがある。誰かの代わり云々ではなく、自分の良いところを積極的に出して欲しい」

 指揮官はそう言って、選手個々への期待と信頼を隠さない。仙台との180分は苦しく不甲斐ないものだったが、アントラーズには光も差し込んでいた。クォン スンテ、永木、安部の実戦復帰――。実力者たちの帰還が、競争意識をさらに高みへと導くことは間違いない。さらに、サムライブルーを纏って背番号3の誇りを示してみせた昌子、そして喜びの裏で悔しさを味わい、さらなる進化への決意を胸に宿した植田も鹿嶋へと帰ってきた。無念の離脱を強いられたペドロ ジュニオールも、復活への道のりを着実に歩んでいる。勝負のシーズン終盤へ、そして来るべき歓喜の瞬間へ――。チーム一丸で、突き進んでいくのみだ。    
 さあ、リーグ再開を告げる90分が始まる。「アグレッシブさをもう一度取り戻す試合にしたい」と指揮官は言った。アクションを起こし、相手を凌駕し、圧倒し、そしてゴールを、勝ち点3を奪い取る――。思い描く姿を体現し、全員が勝利だけを見据えて戦う一戦だ。今夜もともに戦おう。聖地に降り注がれるアントラーズレッドの情熱は、何者をも凌駕する。総力戦で、勝利を掴み取ろう。

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