甲府戦のみどころを読む!
「この前の試合の経験を活かしていこう!パススピードにこだわっていこう!」
7月24日。熱を帯びるグラウンドに、選手の向上心を刺激する大声が響き渡った。ラ・リーガの雄との対峙、そして勝利から2日後。つかの間の充電期間を終えてトレーニングを再開したチームに、さらなる進化を促す情熱が注ぎ込まれた。声の主は、柳沢敦。日本代表、そしてイタリア・セリエAでの日々をキャリアに刻んだストライカーが、後輩たちに伝えた思いとは――。
2-0。2日前の夜、聖地で勝利という任務を遂行してみせたアントラーズだが、そこに充足感はなかった。「自分たちが前線からボールを奪いに行くサッカーをやらせてもらえなかった」と、指揮官は険しい表情で振り返る。特に前半、アンダルシアの雄が繰り出した正確無比のパスワークの前に、アントラーズは後退してしまった。クラブW杯を彷彿させる守護神のビッグセーブ、鬼神のシュートストップがなければ、屈辱的なスコアを刻まれた可能性すらあっただろう。結果的に、前半のボールポゼッション率は3割台にとどまった。数字が全てではないが、しかし、悔しさばかりが募る戦いだったことは確かだ。遠藤は言う。「10回対戦して、1回か2回しか勝てないような、そんな試合だった」と。
大岩監督は続けた。「昨年、レアル・マドリードと試合をして決定的な差を感じたが、その差が縮まるどころか広がっているように感じた。今の自分たちの意識では縮まらない」。胸中に去来する焦燥感を明かし、選手たちを、そしてアントラーズファミリー全員を鼓舞すべく、まるで敗戦後のように厳しい言葉を紡いだ。「もっと厳しくサッカーに取り組み、高い意識を持って日々の練習に取り組んでいきたい」。その思いは、チームオフ明けのトレーニングからさっそく反映されていた。
かつての背番号13がチームを鼓舞したのは、過酷なフィジカルトレーニングを終えた後に実施されたメニューの冒頭だった。パスを出す、止める。再びパスを出す――。言葉にすれば実にシンプルな、基本に忠実なプレーの繰り返し。だが、身体を極限まで追い込み、いじめ抜いた先でのボールコントロールは容易なものではない。突き付けられた世界基準との差を埋めていくために、日々のトレーニングで一段も二段も高い水準を追い求めていかなければならない。
「そうでなければ、試合をした意味がないですから――」
きらめく才能を解き放ち、勇気と自信に満ちたドリブルでセビージャの守備網を切り裂いた安部に、柳沢コーチからの鼓舞について話を向けた。若武者は間髪入れずに「そうですね、あの経験を活かしていかないといけないです」と力を込める。「もっと試合に絡んでいけるように、頑張ります」。新たなるスタンダードを内に取り込み、18歳は未来への道筋を思い描いていた。勝利という事実と、矛盾なく両立する悔しさ――。あの90分で得たもの全てを胸に刻み、前進していかなければならない。進化への決意を加速させる経験を糧に、アントラーズがシーズン後半戦へと向かう。
7月29日、ヴァンフォーレ甲府戦。あれから1週間が経ち、聖地で再び、戦いの幕が開く。J1再開を告げる90分で、進化と向上への思いをチーム一丸で体現しなければならない。道のりは長く険しいが、一つずつ刻む歩みが世界との差を縮めると信じて――。目前の試合に集中し、勝利を追求する姿勢はいつどんな時も変わらない。今夜もまた、全員で勝ちに行く。
セビージャFC戦の後、昌子は言った。「試合のたびに選手が活躍して良くなっていくのは、今のアントラーズのいいところ。これを続けていきたい。そして今日は、チームとサポーターが一体になれていたと思う。リーグ戦でも続けていきたい」と。“共闘”を胸にピッチへ立つチームリーダーの言葉を今一度刻み、カシマスタジアムでともに戦おう。勝負の夏、勝利を積み重ねるために――。力強く、新たな一歩を踏み出そう。
7月24日。熱を帯びるグラウンドに、選手の向上心を刺激する大声が響き渡った。ラ・リーガの雄との対峙、そして勝利から2日後。つかの間の充電期間を終えてトレーニングを再開したチームに、さらなる進化を促す情熱が注ぎ込まれた。声の主は、柳沢敦。日本代表、そしてイタリア・セリエAでの日々をキャリアに刻んだストライカーが、後輩たちに伝えた思いとは――。


大岩監督は続けた。「昨年、レアル・マドリードと試合をして決定的な差を感じたが、その差が縮まるどころか広がっているように感じた。今の自分たちの意識では縮まらない」。胸中に去来する焦燥感を明かし、選手たちを、そしてアントラーズファミリー全員を鼓舞すべく、まるで敗戦後のように厳しい言葉を紡いだ。「もっと厳しくサッカーに取り組み、高い意識を持って日々の練習に取り組んでいきたい」。その思いは、チームオフ明けのトレーニングからさっそく反映されていた。


「そうでなければ、試合をした意味がないですから――」
きらめく才能を解き放ち、勇気と自信に満ちたドリブルでセビージャの守備網を切り裂いた安部に、柳沢コーチからの鼓舞について話を向けた。若武者は間髪入れずに「そうですね、あの経験を活かしていかないといけないです」と力を込める。「もっと試合に絡んでいけるように、頑張ります」。新たなるスタンダードを内に取り込み、18歳は未来への道筋を思い描いていた。勝利という事実と、矛盾なく両立する悔しさ――。あの90分で得たもの全てを胸に刻み、前進していかなければならない。進化への決意を加速させる経験を糧に、アントラーズがシーズン後半戦へと向かう。


セビージャFC戦の後、昌子は言った。「試合のたびに選手が活躍して良くなっていくのは、今のアントラーズのいいところ。これを続けていきたい。そして今日は、チームとサポーターが一体になれていたと思う。リーグ戦でも続けていきたい」と。“共闘”を胸にピッチへ立つチームリーダーの言葉を今一度刻み、カシマスタジアムでともに戦おう。勝負の夏、勝利を積み重ねるために――。力強く、新たな一歩を踏み出そう。
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