ブリスベン戦のみどころを読む!

「今後の連戦にも非常に良い影響を与えると思う」。指揮官はそう言って、勝利の価値を噛み締めていた。10日の横浜FM戦。80分超のスコアレス、ミスが許されない緊迫した展開の末、3ポイントを掴んだのはアントラーズだった。伊東のピンポイントクロスに、優磨が合わせた渾身のヘディングシュート。吠える背番号9、沸騰するゴール裏。若武者2人が鮮やかなゴールを演出し、カシマスタジアムに歓喜をもたらした。
 3.11を前に、ホームで掴み取った勝利。昌子や土居は「被災した方々を少しでも勇気付けられる試合になったら」と口を揃えた。石井監督は試合前のロッカールームで「サッカーができる喜びを感じてプレーしよう」と語りかけたという。カシマにサッカーがある喜び、カシマで勝つ喜び。我慢と忍耐を強いられる試合展開となったが、だからこそ“アントラーズらしい”と枕詞が付く1-0での勝利は、今後に向けて大きな弾みとなる。

 公式戦6試合を終えて、4勝2敗のアントラーズ。3月に入って2連勝中と、少しずつ調子は上向いてきている。ここ2試合はいずれも“ウノゼロ”での勝利。相手を圧倒した内容とは言えないが、守備に偏重する戦い方を選択するチームとの戦いが続いた中で、焦れることなく突破口を探し続けて勝ち得た6ポイントの価値は計り知れない。この2試合トータルで、枠内に打たれたシュートはわずかに1本のみ。小瀬の後半終了間際、スンテが阻止したあのPK以外、アントラーズを脅かす一撃はなかった。課題はまだまだ残っているが、守備の安定が今のチームを支えている。
 そして再び、カシマスタジアムで重要な90分が始まる。ACL第3節、ブリスベン・ロアーFCとの激突だ。全6試合のグループステージは、早くも折り返しを迎える。現在1勝1敗で2位のアントラーズにとって、ホームでの3ポイント獲得は至上命題だ。ブリスベン・ロアーFCは1分け1敗で最下位に沈んでいる相手だが、プレーオフではアルゼンチン代表のカルロス テベスやナイジェリア代表のオバフェミ マルティンスらを擁する上海申花を2-0と破っている。アウェイで劣勢を強いられながらも、少ないチャンスを活かしてACL出場権を掴み取った戦いを見れば、警戒が必要な相手であることは言うまでもない。

 昌子は言う。「安定した守備から、1点を取って勝つ。アントラーズらしい勝ち方だったし、次の試合でメンバーが変わったとしても、誰が出てもこういう試合をしなければいけない」。ACLの前節、バンコクの夜に悔しさと向き合った優磨は誓う。「横浜FM戦のゴールで借りを返せたなんて、全く思っていない。もっともっと点を取り続けないといけない」。誰もが、このホームゲームの重要性を理解している。カシマスタジアムで、必ず3ポイントを――。
 さあ、再びアジアでの戦いが始まる。火曜日の夜、カシマスタジアム。グループステージ突破へ、2勝目を挙げて力強く前進するために。ともに戦い、勝利を掴もう。
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