ブリスベン戦の注目プレーヤーは、曽ケ端準!
「誰がいてもポジション争いというものはありますから。他のポジションにも新外国籍選手が入ってきているし、他のチームから来た選手もいます。競争は今までもあったことなので、変わらずにやるだけです」
1月末にライバルの加入が決まり、心境を問われた37歳は、いつものように淡々と言葉を並べていた。2月1日、宮崎キャンプ。曽ケ端準は翌日に控えたDAZNニューイヤーカップ初戦、長崎戦に向けて集中力を高めていた。「一つひとつの試合に対してしっかりと準備をしていきたい」。19冠目を掴んだ元日の天皇杯決勝から、約1か月。タイキャンプの2試合では川俣がフルタイム出場を記録し、曽ケ端に出番はなかった。背番号21は日々のトレーニングに集中して準備を重ね、そして宮崎のピッチに立った。
「みんなが落ち着いてプレーできたと思う」と振り返った通り、フル出場の曽ケ端はチームに落ち着きをもたらした。この日、センターバックを務めたのは植田と町田の若きコンビ。まだまだコーチングの量が十分とは言えない2人に、最後尾から的確な指示を与え続ける。昨季のクラブワールドカップで見せた鬼神のビッグセーブ連発、圧倒的な存在感でチームを救い続けた姿が改めて脳裏に改めて浮かぶ。「曽ケ端はさすがだね」。そんな声が、報道陣からも聞こえてきた。
曽ケ端は4日後の福岡戦でも、後半開始時から出場。77分には至近距離からのシュートを弾き出し、渾身のセーブで完封勝利の立役者となった。ユース時代を含め、今季でアントラーズ23年目。日本サッカー史に残る“ワンクラブマン”は、8月に38歳を迎える2017年に向けて、上々の仕上がりを見せていた。
しかし――。宮崎で刻んだ135分のプレータイム、それが今季ここまでの全てとなっている。2月11日の水戸戦、そして18日に行われたFUJI XEROX SUPER CUP以降の公式戦全6試合。ピッチに立ったのはスンテだ。ACL王者・全北現代からやってきた新背番号1は、昨日発表された韓国代表への返り咲きを果たすこととなるハイパフォーマンスで、アントラーズファミリーの信頼を日々高めている。今月4日の甲府戦では、起死回生のPKストップでヒーローとなった。曽ケ端自身も、加入からわずか5日後の時点で「経験も実績もある選手。それは見ていてもわかる」と、その能力の高さを認めていた。
ベンチを温めることとなった曽ケ端。2001年に定位置を奪ってから、負傷離脱の期間を除いてはほとんど味わうことのなかった悔しさと向き合うこととなった。それでも、背番号21は真のプロフェッショナルとしてアントラーズを支え続けている。試合日のウォーミングアップ、スンテとのトレーニングでは笑顔を絶やさず、時にアドバイスを送りながら、最高の状態でピッチへ送り出そうと献身する。ゴールを決めた選手のもとへ駆け付け、満面の笑みで祝福する。「もちろん、うまくいかないこともありますけど。いつも通り、目の前の試合に向けてしっかりとコンディションを整えて一つずつやっていくだけですよ」。その一つひとつの言葉が、立ち振る舞いが、チームに落ち着きと安心感をもたらしている。
とはいえ、控えに甘んじ続けるつもりは毛頭ないはずだ。2015年に先発から外された時期があったが、石井監督の就任とともにゴールマウスへと帰還した。今もまた、己の状態を常に保ちながら、そして向上を期しながら、ピッチで最高のパフォーマンスを見せられるようにトレーニングに打ち込んでいる。
指揮官は甲府戦の後、こんな言い回しでGKのポジション争いを称した。
「スンテは新加入なので、“試合に出たり、出なかったり”という状況だと、コミュニケーションが良くなっていかないと思っている。だから継続して起用することでチームとのコミュニケーションを多く取れるような形を採っている。細かい部分の修正はあると思うが、大きく言えば、良い働きをしてくれている。曽ケ端との競争も刺激になって、良いパフォーマンスにつながっていると思う」
守備陣における連係確立に重きを置き、新加入のスンテを先発に指名していると明かした石井監督。その能力への高い評価が根底にあることは言うまでもないが、コンビネーションに関する不安のない曽ケ端への絶対的な信頼もまた、この言葉から透けて見える。百戦錬磨の守護神が控えていることは、チームだけでなく指揮官にとってもこの上なく心強い要素であるはずだ。
そして、今夜。止まったままの時計の針を、背番号21が再び動かし始める。「シーズンが早く終わった時も試合まで間隔が空いたし、プレシーズンマッチには出場したので、気にならないですよ」と自身の状態を明かす守護神は、「無失点が続いているチームの足を引っ張らないようにしたいですね」と、その実績からすれば謙虚が過ぎる言葉で、静かに抱負を述べていた。その視線は試合を、そして勝利を見据えていた。
2001年5月19日、増築を終えた“新生・カシマスタジアム”で、アントラーズを絶望の淵から救った起死回生のPKストップ。そして2016年12月24日、リニューアル前最後の聖地で再び魅せた、渾身のPKセーブ。アントラーズの全てを知る守護神が、聖地を愛し、聖地に愛された背番号21が、再び戦いの場へ――。誰よりも高く足を振り上げる円陣、誰よりも大きな声で戦い続ける90分。スタンドから鳴り響く「曽ケ端」コールともに戦い抜いた先に、勝利の喜びが待っているはずだ。
1月末にライバルの加入が決まり、心境を問われた37歳は、いつものように淡々と言葉を並べていた。2月1日、宮崎キャンプ。曽ケ端準は翌日に控えたDAZNニューイヤーカップ初戦、長崎戦に向けて集中力を高めていた。「一つひとつの試合に対してしっかりと準備をしていきたい」。19冠目を掴んだ元日の天皇杯決勝から、約1か月。タイキャンプの2試合では川俣がフルタイム出場を記録し、曽ケ端に出番はなかった。背番号21は日々のトレーニングに集中して準備を重ね、そして宮崎のピッチに立った。
「みんなが落ち着いてプレーできたと思う」と振り返った通り、フル出場の曽ケ端はチームに落ち着きをもたらした。この日、センターバックを務めたのは植田と町田の若きコンビ。まだまだコーチングの量が十分とは言えない2人に、最後尾から的確な指示を与え続ける。昨季のクラブワールドカップで見せた鬼神のビッグセーブ連発、圧倒的な存在感でチームを救い続けた姿が改めて脳裏に改めて浮かぶ。「曽ケ端はさすがだね」。そんな声が、報道陣からも聞こえてきた。

しかし――。宮崎で刻んだ135分のプレータイム、それが今季ここまでの全てとなっている。2月11日の水戸戦、そして18日に行われたFUJI XEROX SUPER CUP以降の公式戦全6試合。ピッチに立ったのはスンテだ。ACL王者・全北現代からやってきた新背番号1は、昨日発表された韓国代表への返り咲きを果たすこととなるハイパフォーマンスで、アントラーズファミリーの信頼を日々高めている。今月4日の甲府戦では、起死回生のPKストップでヒーローとなった。曽ケ端自身も、加入からわずか5日後の時点で「経験も実績もある選手。それは見ていてもわかる」と、その能力の高さを認めていた。
ベンチを温めることとなった曽ケ端。2001年に定位置を奪ってから、負傷離脱の期間を除いてはほとんど味わうことのなかった悔しさと向き合うこととなった。それでも、背番号21は真のプロフェッショナルとしてアントラーズを支え続けている。試合日のウォーミングアップ、スンテとのトレーニングでは笑顔を絶やさず、時にアドバイスを送りながら、最高の状態でピッチへ送り出そうと献身する。ゴールを決めた選手のもとへ駆け付け、満面の笑みで祝福する。「もちろん、うまくいかないこともありますけど。いつも通り、目の前の試合に向けてしっかりとコンディションを整えて一つずつやっていくだけですよ」。その一つひとつの言葉が、立ち振る舞いが、チームに落ち着きと安心感をもたらしている。
とはいえ、控えに甘んじ続けるつもりは毛頭ないはずだ。2015年に先発から外された時期があったが、石井監督の就任とともにゴールマウスへと帰還した。今もまた、己の状態を常に保ちながら、そして向上を期しながら、ピッチで最高のパフォーマンスを見せられるようにトレーニングに打ち込んでいる。
指揮官は甲府戦の後、こんな言い回しでGKのポジション争いを称した。
「スンテは新加入なので、“試合に出たり、出なかったり”という状況だと、コミュニケーションが良くなっていかないと思っている。だから継続して起用することでチームとのコミュニケーションを多く取れるような形を採っている。細かい部分の修正はあると思うが、大きく言えば、良い働きをしてくれている。曽ケ端との競争も刺激になって、良いパフォーマンスにつながっていると思う」
守備陣における連係確立に重きを置き、新加入のスンテを先発に指名していると明かした石井監督。その能力への高い評価が根底にあることは言うまでもないが、コンビネーションに関する不安のない曽ケ端への絶対的な信頼もまた、この言葉から透けて見える。百戦錬磨の守護神が控えていることは、チームだけでなく指揮官にとってもこの上なく心強い要素であるはずだ。
そして、今夜。止まったままの時計の針を、背番号21が再び動かし始める。「シーズンが早く終わった時も試合まで間隔が空いたし、プレシーズンマッチには出場したので、気にならないですよ」と自身の状態を明かす守護神は、「無失点が続いているチームの足を引っ張らないようにしたいですね」と、その実績からすれば謙虚が過ぎる言葉で、静かに抱負を述べていた。その視線は試合を、そして勝利を見据えていた。
2001年5月19日、増築を終えた“新生・カシマスタジアム”で、アントラーズを絶望の淵から救った起死回生のPKストップ。そして2016年12月24日、リニューアル前最後の聖地で再び魅せた、渾身のPKセーブ。アントラーズの全てを知る守護神が、聖地を愛し、聖地に愛された背番号21が、再び戦いの場へ――。誰よりも高く足を振り上げる円陣、誰よりも大きな声で戦い続ける90分。スタンドから鳴り響く「曽ケ端」コールともに戦い抜いた先に、勝利の喜びが待っているはずだ。

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