PREVIEW
先週土曜日のホーム札幌戦は、大きな意味を持つ勝利となった。多くの決定機があったものの、なかなか得点が決まらず、嫌な雰囲気になりつつあった試合を一変させたのは、師岡のプロ初ゴールだった。
61分、優磨の絶妙なラストパスから思い切り良く右足を振り抜き、札幌ゴールに突き刺す。この試合も含め、ここまで幾度となく決めきれない場面が続いた師岡が待望のゴールを得たことで、おぜん立てした優磨をはじめ、チームメートたちは自らのことのように歓喜した。
続いて66分、その師岡に代わり、ピッチに立った藤井がこれまた優磨の見事なロングクロスを左足でダイレクトに決めた。スーパープレーとスーパーゴールの共演に、カシマスタジアムは再び歓喜に震えた。
試合後、敵将であるペトロヴィッチ監督は「鈴木選手に違いを作られた」と語ったが、それは正しくもあり、間違ってもいる。師岡、藤井のゴールを演出した優磨がこのチームの大黒柱であることは間違いないが、最後まで体を張り、クリーンシートゲームを作り上げた早川、植田、関川もいれば、この試合で今季初先発を果たし、そのプレーでチームに安定とリズムをもたらした柴崎もいる。誰がすごかった、というよりも、この日のアントラーズはチームの全員がただ、勝利のために戦い、その通りの結果を得たのだった。
ひるがえって、明日は大会が変わり、天皇杯3回戦を戦う。対する相手は、J2で異彩を放つ藤枝だ。現在、リーグ順位は10位の藤枝だが、その熱い姿勢に注目が集まる須藤監督が掲げる「ハイエナジーフットボール」で、一度爆発すると止められない側面もある。初対戦となるアントラーズにとって、決して侮れない相手だ。
天皇杯というタイトルのため、勝利のみが義務づけられる明日の試合。再び、全員がひとつになって最後の最後まで戦い抜こう。